歯科衛生士 1月
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歯肉の変化をイメージイメージしよう歯肉歯肉の変化変化をイメージイメージしよう 歯肉にはたくさんの情報が隠れています。歯肉からは普段のブラッシング、全身状態、食べている物、歯槽骨の状態などを想像することができます。“プラークが多くついているか”“プラークが除去できたか”ではなく、大切なのは“どんな歯肉か、歯肉は変化したのか”であると思います。 患者さんが健康を獲得し維持していくため、私たち歯科衛生士は「歯肉を見る目」を持つことが必要です。現在どんな状態か、原因は何か、どうすれば改善するのかを歯肉をよく見て考えます。そして歯肉がどのように変化していくのかを予測することが重要となります。歯科衛生士が変化をイメージできないと、変化に気づくことができないからです。 歯肉は患者さんのものですから、私たちの考えたことを患者さんに伝え、目標を明確にし、患者さん自身で治していただくために、歯科衛生士は的確なアドバイスを行えるプロでありたいと思います。 少しずつ変わっていく歯肉を見て、患者さんに自分の身体の力を知っていただき、良くなっていくことを患者さんとともに喜ぶことができたら、患者さんと私たちの関係もきっと楽しいものになるでしょう。山岸貴美恵(谷口歯科医院)第1回:ブラッシングで変化する歯肉変化をイメージするうえでのヒント 歯肉が発赤している場合、原因はプラークや歯石であることが多いと思います。しかし、時には充填物や補綴物が影響していたり、咬合力の関与が疑われることもあります。歯ブラシなどによる傷が、プラークによる炎症であるかのように見えることもあります。歯肉をよく観察し、何によって現在の歯肉の状態となっているのか見極めることが大切です。また、同じプラークによる炎症であっても、患者さんによって炎症の現れ方も違っています。歯肉の性状なども頭において考えることが必要であると思います。ブラッシングブラッシングで、で、歯肉歯肉はどうはどう変化変化していくのでしょうしていくのでしょう?? 初診時、全体に歯肉の発赤、腫脹が顕著。ブラッシング時の出血が激しいため、歯面だけをそっと磨いていた。もともと歯肉は薄くデリケートだと思われる。発赤は強いが比較的限局しており、炎症のライン(炎症の境目)がはっきりしているためここに注目した。このラインが消えることを目標とする。ブラッシングは「歯を磨くこと」ではなく「汚れを上手にお掃除すること」と患者さんに伝え、出血をあまり恐れずに歯間部の汚れを落とすつもりでブラシを当てるよう伝えた。弱い歯肉であるため、歯ブラシの毛先を歯肉にあてないよう注意してもらう。目標:炎症のラインの消失Case1Case1(28歳女性)(28歳女性) 321唇側の歯肉が発赤している。ひりひりして歯ブラシを当てると痛い。歯にいちばん近い部分の辺縁歯肉には発赤が見られないことから、擦過傷と考えられる。2~3日は歯ブラシを当てず、安静にして傷の治りを待つことを患者さんに伝えた。目標:傷の消失(74歳女性)(74歳女性)Case2Case2ステージ別連載 初級ステージカテゴリーTHE JOURNAL OF DENTAL HYGIENIST 49

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