歯科衛生士 1月
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唾液はどこでつくられる? 唾液は唾液腺(図1)で生成・分泌されます。唾液腺には左右一対で存在する耳下腺・顎下腺・舌下腺の3つで構成される大唾液腺と、口蓋や口唇に存在する小唾液腺があります。唾液腺は胎生4~8週ごろに耳下腺、顎下腺、舌下腺と小唾液腺の順に形成され、唾液も分泌され羊水とともに嚥下されています。唾液腺はどれもブドウのような構造をしており、房にあたるのが腺房部、枝にあたる部分が線条部導管です。腺房部の細胞には漿液性と粘液性細胞の2種類があり、それぞれ成分の異なる唾液を生成します。漿液性細胞はアミラーゼを多く含む純漿液性(=サラサラ)の唾液を、粘液細胞は粘膜を保護するムチンに富む粘稠(=ネバネバ)な唾液を分泌します。耳下腺は三大唾液腺の中でもっとも体積があり、頬の後方部から耳の上方部まで広い範囲にわたり存在しています。漿液性細胞で構成されており、ここから分泌される唾液は、1本の耳下腺管を通って頬粘膜の上顎第二大臼歯に対向する頬粘膜に隆起した耳下腺乳頭部から口腔内に出ていきます。顎下腺は舌と下顎骨の内側にあり、漿液性細胞が主体の構成ですが、粘液性細胞との混合腺です。浅部と深部にわけられ、顎舌骨筋の後縁部で湾曲している浅部から顎舌骨筋の上方部の深部へと移行します。導管は舌の側面と顎舌骨筋の間を斜め前方に走行し、舌下部の舌小帯わきにある舌下小丘で口腔内に開口します。舌下腺は大唾液腺の中で最小です。顎下腺と同様に混合腺ですが、主に粘液性細胞による構成です。口腔底直下の舌下ヒダという粘膜の下方にあり、数個~数十個の小管は舌下小丘周辺で口腔内に開口します。小唾液腺は粘液性細胞から構成されており、舌、口蓋、頬粘膜、口唇粘膜に存在します。耳下腺(腺房部)漿液性細胞で構成(サラサラの漿液性唾液を分泌)耳下腺管(線条部導管)耳下腺乳頭咬 筋舌下腺管(線条部導管)顎下腺管(線条部導管)顎舌骨筋頬 筋舌下ヒダ舌下小丘顎下腺浅部顎下腺深部顎下腺(腺房部)漿液性細胞主体の混合腺(サラサラの漿液性主体+粘液性の唾液を分泌)舌下腺(腺房部)粘液性細胞主体の混合腺(ネバネバの粘液性主体+漿液性の唾液を分泌)図1 側方から見た唾液腺の位置と周囲の筋肉。ステージ別連載 中級ステージカテゴリーTHE JOURNAL OF DENTAL HYGIENIST 65

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