歯科衛生士 2012年4月
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歯周炎と間違えやすい病変に気づこう第4回 咬合性外傷連 載須田智也1)、小林宏明1)、池田実樹子2)、小田 茂3)1)東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野2)東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科衛生保健部3)東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科総合診療部この症例をどうとらえますか?この症例をどうとらえますか?53歳女性。初診時、前歯部の離開を主訴に来院した。●連載にあたって 日々の臨床で歯周治療を行っていると、プロービングによるポケットの深さやアタッチメントロスは、歯周炎が原因であると短絡的に考え、何でもかんでもスケーリング・ルートプレーニング(SRP)をすぐ実行してしまうことがあります。また、歯肉が腫れていたり炎症やフィステルが認められると、安易に歯周炎と診断してしまうことも少なくありません。これは類似した疾患との鑑別診断の誤りに起因します。実際、「歯根破折を歯周炎と誤診してSRPを行ったが治らなかった」「発赤腫脹が認められたのでSRPを行ったが炎症が引かなかったが、不良補綴物のマージンを修正したら炎症が消退した」など、経験したことがあるのではないでしょうか。 歯周炎と他の疾患の鑑別診断には、問診、口腔内視診検査、プロービング(プロービングポケット深さやクリニカルアタッチメントレベル)、エックス線検査などからの情報を総合的に判断することが必要です。そうした観点から、鑑別診断の重要性とオーバートリートメントの回避を目指して、歯根破折、不良補綴物、歯内病変、咬合性外傷といったものと歯周炎の違いを、4回にわたり連載していきます。近心に8mmのポケットを形成。正中離開も認められる。エックス線写真上には、近心に垂直性の骨欠損および歯槽硬線の喪失がみられる。咬合時にフレミタスがあった。習癖に歯牙接触癖(tooth contact habit; TCH)があった。8mmステージ別連載 初級ステージ42 歯科衛生士 Vol. 36 No. 4/2012

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