歯科衛生士 3月
3/8

なぜ歯列や咬合も診ていくといいの?まずは、良好な歯列・咬合の重要性をふまえ、なぜ歯科衛生士が歯列や咬合においても診査時にみていくとよいのか解説します。歯列の状態は、口腔衛生状態に大きく影響する 厚生労働省と日本歯科医師会が提唱している8020運動については、皆さんもすでにご存じのことと思います。厚生労働省の調査によると、8020の達成率(80歳で20本の歯を残すことができた人の割合)は、運動開始当初において7%程度でしたが、2005年には21.1%となり、2011年の報告では38.3%に達し、今や3人に1人の高齢者が8020達成者となりました。 最近では、8020達成者の口腔内の状態についての調査が盛んに行われています。その中で大変興味深い調査として、「8020達成者の多くは、歯列・咬合の状態が良好であった」との複数の報 一般に歯列の状態が良ければ、口腔内が汚れても唾液の力によってある程度の自浄作用がはたらきます。また、ブラッシングなどのお手入れもし告がなされています。ある調査1)では、8020達成者の実に84%が正常咬合だったそうです。一方、八重歯などの人の割合も非常に少なく、反対咬合をはじめとして、咬合の異常がある達成者は1人もいませんでした。また、8020達成者の咬合力は、正しい咬み合わせの20代の成人とほとんど差がなかったということです。やすくなります。その結果、う蝕や歯周病になりにくくなります。咬合の状態も良ければ、それぞれの歯にバランスよく咬合力がかかります。●歯列・咬合の状態が良いことが8020の達成につながる●8020達成者では、若いときの咀嚼機能を維持していると考えられる●良好な歯列・咬合は、う蝕や歯周病になりにくく、咬合力のバランスがよいため、歯や歯周組織の長寿につながっていくつまり……つまり……理由2多くの8020達成者は、歯列・咬合が良好な人たちという事実理由141歯科衛生士 Vol.38 March 2014

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です