歯科衛生士 4月
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実践臨床マニュアルインプラント周囲病変を予防する コントロールする つづいて、口腔内の診査を行います。診査内容としては、①よく見る(視診)、②触れてみる(触診)、③プロービング、④エックス線写真でインプラント内部を確認する(読影)、以上の4つとなります。よく見る(視診) 視診では、口腔内全体の天然歯および歯肉、インプラント上部構造、周囲粘膜の状態を視て、発赤・腫脹などの炎症兆候や磨耗・損傷がないか確認します(図6)。触れてみる(触診) 触診では、まずインプラントの上部構造に触れて、動揺がないかどうかをチェックします。インプラントは、インプラント体、アバットメントスクリュー、補綴用スクリュー(スクリュー固定の場合のみ)というスクリューの連続で成り立っています。このうちのどこか1点に荷重がかかり、回転する力が加わると、ゆるみが生じ、上部構造が動揺してしまいます。この場合は、担当歯科医師に調整を依頼しましょう。 次に、インプラント先端部から歯槽頂に向かって粘膜を軽く押していきます。もしも内部で感染による炎症があれば、粘膜の付着部分から出血・排膿がみられます(図7)。天然歯と違い、それほど顕著な発赤・腫脹がなくても出血・排膿がみられることもありますので、必ず触診してください。図5 噛み癖のチェック7時と11時の位置に立ち、手のひら全体を患者さんの口腔周囲にあて、開閉運動および側方運動をしていただき、筋肉の発達や顎関節のクリックの有無などをチェックする。特に咬筋・口輪筋・頬筋は顔貌にも影響するので、その起始・停止についても理解しておく。あまり強く粘膜を押してしまうと、周辺に膿を散らしてしまいます。スーッと軽く触れる程度にしましょう。注意!口腔内を診査するその2口角下制筋小頬骨筋頬筋笑筋前頭筋皺眉筋眼輪筋大頬骨筋咬筋口輪筋aは初診時の状態(他院でインプラントを埋入している)、bは炎症が少し落ちついた状態。インプラント治療後のセルフケアでは、上部構造と粘膜との境界部分を清掃し、プラークが蓄積しないようにする必要があるが、上部構造だけを清掃していると粘膜が発赤・腫脹する。歯ブラシをあてる範囲を拡大するよう指導し実践してもらうと、少しずつ腫脹が治まってくる。図6 インプラント周囲粘膜の炎症図7 粘膜からの排膿インプラント体がP.g.菌やA.a.菌などの歯周病菌に感染している場合、プローブを抜いたりインプラント先端から歯槽頂へ側方圧を加えた際にポケット部分から排膿してくる。これは炎症兆候として患者さんに認識していただかなければならないため、写真を見せながら患者さんに説明する。ab39歯科衛生士 Vol.38 April 2014

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