歯科衛生士 2015年4月
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歯周基本治療において、診査は不可欠です。診査とはすなわち、プロービングや口腔内写真・エックス線写真診査のことで、まず患者さんの口腔全体の病態や問題点を大まかに把握します。次に、1歯ごとに歯周病、う蝕、歯内病変、破折、咬合が関与していないかなど細かな情報を得ていきます。その結果次第で、歯科衛生士として次にどのようにアプローチし、患者さんに何をお伝えしたらよいかも変わってきます。 先月号で登場した症例は、歯周病がかなり進行していました。口腔内の問題もさることながら、患者さんの生活背景の問題や、過去の苦い歯科治療体験もあったことから、なぜ初診時のような状態にまで口腔内が進んでしまったのか、その背景を知り、患者さん自身に関する包括的な情報をつかむことが大事な症例でした。さもなければ、対応していっても、生活背景が影響して治療が中断したり、症状が再発したりという事態が起こりえるからです。 それに比べ、今月の症例は、患者さんの生活や病歴にはさして大きな問題はなさそうです。一見、さほど重症化しているようには見えませんが、う蝕治療も多数受けており、複雑な口腔内になっています。そこで本当に歯周病の進行がないかを調べるために、歯周病の検査であるプロービングを再度きっちりと行うことが大変重要だとわかります。プロービングがしっかりできていれば、治せるケースか否かを知ることができるでしょう。 今回、狩野さんにご提示いただいたケースは、プロービングの技術や、歯肉の炎症を見る目がまだ育っていなかった頃の症例です。何が足りなかったのか、プロービングに焦点を絞り、重要事項をお話ししていきます。今月の症例は、正確なプロービングの重要性を示すものです ビングが、17歯科衛生士 April 2015 vol.39

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