歯科衛生士 2015年6月
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薬剤 まず、服用している薬剤の影響を考える必要があります。特に高齢者では、薬剤性のドライマウスが多くみられます。 降圧剤や安定剤、睡眠剤など分泌抑制作用のある薬剤では、服用が短期間の場合には影響が少ないのですが、長期間服用すると、唾液の分泌や口腔機能の低下によって、ドライマウスが生じやすくなります。このような場合には、「これまで問題がなかったのだから薬剤性ではない」と判断するのは間違いで、長期間の連用で薬剤の影響が出てきたと理解すべきでしょう。生活習慣 次に、生活習慣に原因がないかを観察します。水分を多量に摂取している人は、ドライマウスの自覚症状が出ることがありますし、鼻粘膜の浮腫などで鼻呼吸がしにくい人は、口呼吸になるために口腔乾燥感が強くなることが多いようです。足がむくみやすい人や鼻疾患のある人がこれにあたります。 また、乾燥しやすい室内環境で暮らしている人にも注意が必要です。エアコンや暖房の影響で、ドライマウスが進行することがあります。 そのほか、姿勢にも注意が必要で、姿勢が前かがみになりやすい人や、肩こりの強い人は、舌が動きにくくなって乾燥感が強くなることがあります。そのドライマウスの原因はなに?ドライマウスの原因を理解しないまま、保湿剤を塗布していませんか?保湿剤はあくまで対症療法ですので、むやみにつけても改善にはつながりません。まずはどんなことが原因になるのかを押さえましょう!口腔内だけ診ていてもダメ!1PART筆者の研究から 65歳以上の高齢者499名を対象に、唾液分泌量低下と、それに関連する薬剤の服用状況について調査しました2)。そのうち、薬剤を服用していない人は153名(30.7%)で、なんらかの薬剤を1種類以上服用している人は346名(69.3%)でした。 薬剤服用の有無における口腔乾燥感の発現頻度についてみると、薬剤非服用者153名のうち、乾燥感を自覚している人は68名(44.4%)、つねに乾燥感がある人は29名(18.9%)でした。一方、薬剤服用者346名では、乾燥感を自覚している人は212名(61.3%)、つねに乾燥感がある人は109名(31.5%)にのぼりました。どちらも、非服用者に比べると、有意に高い発現頻度でした。歯科衛生士 June 2015 vol.3966

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