歯科衛生士 2015年6月
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までのillustration:macco町田麗子Reiko Machida 日本歯科大学口腔リハビリテーション科田村文誉Fumiyo Tamura日本歯科大学口腔リハビリテーション科科長はじめにQ3Q6指しゃぶりが気になります。ちっとも噛まずに丸呑みしてしまいます。口腔への関心が高まり、多くの保護者がう蝕予防に熱心になればなるほど、わが子のお口に関する悩みは深くなり、懸念事項も増えているようです。先月号のUNDER20特集でもお伝えしたように、乳歯列が完成するおよそ3歳までの時期は、咀嚼の機能とともに「食べる」ことの基本が育成される大切な時期です。本特集では、この時期の保護者が抱える歯科関連の困りごとから代表的な6つを取り上げ、機能の発達を見据えて回答していただきました。(編集部) 生まれてから乳歯列完成期(2歳9ヵ月頃)までの時期の子どもの発達は、目を見張るものがあります。出生直後には、手や足の指を動かし、泣き、哺乳をするなどの動きしかなかった赤ちゃんが、一つひとつの経験を通して成長を重ね、乳歯列が完成する頃には、ジャンプしたり、おしゃべりしたり、友だちとも遊べるようになってきます。 赤ちゃんから子どもへ変化していく約3年の間、めまぐるしく成長するわが子が次の段階へ進むたびに保護者は新しい課題をつきつけられ、それにともなう心配事も抱えています。「ミルクを飲まない/飲みすぎる」から始まり、「離乳食を食べない/食べすぎる」「身長や体重が増えない/増えすぎる」「歩き始めない」「卒乳や断乳はどうしよう」「コトバがでてこない」「友だちに手をあげてしまう」「トイレトレーニングはどうしよう」など、挙げればきりがないほどです。心配事を解消したい気持ちから情報を求めるのですが、乳幼児との生活では外出が難しいことから、インターネットや雑誌などがそのよりどころとなり、情報が偏りがちです。 実は、保護者が抱える心配事には、口に関するものが多く含まれています。にもかかわらず、乳歯未萌出の時期や、数本乳歯が見えているくらいの時期には、自治体での歯科健診が行われる程度で、歯科とのかかわりはごくわずかです。せいぜい乳歯列が完成する頃に歯科医院への受診を開始する程度であり、歯科に相談したとしても、その内容はう蝕の心配やブラッシング方法、う蝕予防についてなど、「歯」に関するトピックに限定されているようです。 しかし、歯科衛生士は歯だけではなく口の専門家です。本稿をヒントに、歯科衛生士がこの時期のお口に関するアドバイスを行うことで、多くの保護者の心配事を減らし、子どもたちの食や健康を豊かにできれば幸いです。が。ちっとも噛まずに丸呑みしてしまいます。31歯科衛生士 June 2015 vol.39

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