歯科衛生士 2015年8月
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Illustration:ひらたともみ次のページからマンガがスタート!新井さんの奥様新井さんより1歳年下で初診時73歳。2人暮らしなので、ご主人の介護を全面的に担っていて、以前のように少しでも手料理を味わってもらいたいと思っている。花形先生花形歯科医院の院長。30年前に開業した当初から、地域でのシームレス診療に取り組んでいる。ケアマネジャー(ケアマネ)今回のキーパーソン。花形先生とは頻繁に訪問診療のやり取りをしていて、医療・介護にかかわる多くの職種による有効な連携をさせたいと考えている。早川DH花形歯科医院の歯科衛生士。訪問診療にかかわって7年が経つ。明るく、時には要介護者・介護者に親身になって他職種と連携を取り、専門職として口腔管理に励む。 30年前に甲府市で歯科医院を開業して以来、多職種と連携し、地域において人々の生涯にわたるかかりつけ歯科医になることを目指して歯科診療に取り組んでいます。このモットーを達成するためには、協働してくれる歯科衛生士の存在は当然、不可欠です。 今回の事例をとおして、患者さんが望む在宅療養を行うために、地域の病院と歯科医院、多職種によるシームレス連携が必要であり、そのために退院時カンファレンスやケアカンファレンスに歯科がかかわり、「口腔衛生管理の大切さを知ってもらうこと」が必要であることを理解していただきたいと思います。花形哲夫Tetsuo Hanagata花形歯科医院 院長早川真由美Mayumi Hayakawa花形歯科医院 歯科衛生士登場人物他のその年齢74歳(初診時2008年6月)性別男性主訴歯肉が腫れて出血する。少しでも口から食べたい。現病歴●2007年10月に発症した脳内出血により、右片麻痺、摂食嚥下障害、構音障害等をきたし、経鼻経管栄養にて対応している●脳内出血の治療を終えた退院時、意識は鮮明であったが、喀痰は困難の状態であった●訪問診療開始前に誤嚥性肺炎の既往があり、MRSA※1に感染していた検査値●血圧:107/70mmhg ●脈拍:80回/分●SpO2:98.0%●血清アルブミン※2:3.1●BMI:15.2(低体重)この他、主治医等からの医療情報や総合検査報告書(生化学検査・血液検査)での情報提供あり日常生活自立度●障害高齢者の日常生活自立度:C1※3●認知症高齢者の日常生活自立度:自立●要介護度区分:要介護5※4服薬状況処方箋での情報提示あり。具体的には、栄養剤、降圧剤、筋肉の緊張・痰に対応する薬として、エンシュア・リキッド(1,500mg /1日)、デパケンシロップ5%(16mg/1日)、マグラックス(330mg 3T/1日)、タナトリル錠5(1T/1日)、ノルバスク(5mg 1T/1日)、フロリネフ(0.1mg 0.6T/1日)、シンメトレル(50mg 2T/1日)、ネオドパストン(100mg 4T/1日)など。今回の患者さん(新井さん・仮名)※1 MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)とは、抗生物質メチシリンに対する薬剤耐性を獲得した黄色ブドウ球菌である。※2 血清アルブミン(ALB)とは、血清に含まれているたんぱくの主成分の1つ。3.9~4.9g/dlが基準値で、基準値より低い場合を栄養不良とみなす。※3 障害高齢者の日常生活自立度(平成3年11月老健第102-2号厚生省大臣官房老人保健福祉部長通知より)のC1とは、1日中ベッドの上で過ごし、排泄・食事・着替えにおいて介助を必要とするが、自力で寝返りをうつことができる状態。今回の新井さんは、車いすへの移乗は可能であるものの、基本的にはC1の状態に該当するため、こちらを選択した。※4 要介護度5とは、最重度の介護を必要とする状態。57歯科衛生士 August 2015 vol.39

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