歯科衛生士 2016年1月
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須貝歯科医院のメインテ  (人)3,3002,4002,7003,0001,5002,1001,2001,800900600300019981997199619951994503305339344268 PART 1 1 須貝歯科医院では、メインテナンスに取り組み始めたおよそ20年前に比べ、メインテナンス患者数は10倍をはるかに超え、モチベーションが高い患者さんが自然と集まるようになりました。「健全な口腔を守るために、患者さんができない部分は、管理を厳しくするのではなくて歯科医院でカバーする」という方針を掲げる須貝先生が重視するのは、「とにかく通い続けてもらえること」。患者さんに求めないぶん、歯科医院側にはしっかりした管理能力が求められる須貝歯科医院流のメインテナンス。本稿では、その取り組みから、メインテナンスに求められる条件と方法に迫ります。須貝歯科医院のゆるメンテ*シリーズメインテナンス低迷時代からの脱却通いたいメイン  1988年に、縁もゆかりもなかった当地に「須貝歯科医院」は誕生しました。初代の歯科医だったため、資金もなく、古びたビルの2階で、1階には魚屋さんとスナックがあるという、今ではそんなところで開業する先生はいないだろうというような環境でした。しかし当時は今ほど歯科医院の数は多くなく、すぐに多くの患者さんが来院するようになりました。子どもとのかかわりが好きだったこともあり、午後からの診療はまるで小児歯科のように子どもたちであふれていました。当時は治療主体の診療であり、乳歯にはコンポジットレジン充填、永久歯にはインレー修復と、子どもたちの口の中には修復物が多くなっていきました。 「メインテナンス」という概念はそのころからあり、治療が終了した子どもたちにもハガキを出していましたが、リコール率は高くはありませんでした。それ自体はあまり気にしていませんでしたが、われわれを信頼して笑顔でやってくる子どもたちの口の中に修復物が多くなっていくことはどうしても納得がいかなくなってきました。そこで、なぜリコール率が低いのかを検証してみることにしました。その理由は以下のようなものでした。1.「定期健・診」でなく「定期検・診」だった メインテナンスではう蝕があるかどうかを診査し、見つけては治療をするということの繰り返しだった2.う蝕にならないようにする術を持っていなかった3.口腔内の状態がよい子どもにはやることがなく、口の中を診て終わりになっていた この結果として、患者さんにメインテナンスの効果を感じてもらうことができず、「定期的に通う価値はない」と判断されてしまったのでしょう。 予防歯科先進国ではメインテナンス率はきわめて高く、子どもたちが定期的に歯科医院に健診に通うことがあたりまえという歯科事情は当時から伝わってきていました。われわれの現状との違いは、社会保険制度の違いはあるかもしれませんが、歯科医院側の「国民の歯を守る」という意識が違うこと、つまり歯科医院の対応の違いによるのだろうと考えました。 そこでまず、子どもたちやその保護者に、「定定着までの取り組み経過メインテナンス低迷時代過去メインテナンスに通えばう蝕が防げる予防システムの構築5.212歳時DMFT歯科衛生士 January 2016 vol.4018

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