歯科衛生士 2016年3月
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大丈夫ですか?大変!どうしよう!なぜ、歯科医院で歯科衛生士が患者さんのムセに対応する必要があるのか?Illustration:佐々木 純、渡部伸子(rocketdesign)佐々生康宏Yasuhiro Sasaoささお歯科クリニック口腔機能センター院長木村聖子Seiko Kimuraささお歯科クリニック口腔機能センター歯科衛生士片山智子Tomoko Katayamaささお歯科クリニック口腔機能センター歯科衛生士ができる 対応 「最近むせるようになったんです」と患者さんに言われることはありませんか? あるいは、歯科医院でむせる患者さんを見かけることはありませんか? このような「ムセ(誤嚥)」は、もしかすると嚥下障害のサインかもしれません。 摂食嚥下の世界は奥深く、他職種もかかわってくるため、本来であれば専門的に学んだうえで取り組むべき事項です。また、「摂食嚥下リハビリテーション」という言葉だけ聞くと、歯科医院で勤務する歯科衛生士にとっては非常にハードルが高く感じられてしまうのも事実です。 しかし一方で、来院する患者さんは確実に高齢化しており、摂食嚥下機能の低下がみられる方も増えてきています。それなのに、知識がないからといって何もせずに放置してしまうことは望ましくありません。嚥下障害が重篤化してしまうと、日常生活に支障をきたすことが増えますし、回復も困難だからです。その点、比較的軽度の症状で患者さんが来院される可能性がある歯科医院という場で、前もってムセに対応することで、重篤化を予防できる可能性がありますし、ムセの背景を探ることで全身疾患を発見できる場合もあります。 また、本編でもご紹介するとおり、ムセの原因は実はさまざまあるため、基本的には医師・歯科医師の診断を仰いだうえでムセに対応することが必要です。しかし、実際にはそのような医師・歯科医師が近くにいないということも少なくないのも現状です。現実的には、現場にいる歯科衛生士が対応しなければいけない場面は大いにありますし、今後も増えてくるでしょう。こうした経緯をふまえ、歯科衛生士の皆さんにも可能な範囲でムセに対応していただくために、少しでも知識やノウハウを身につけてほしいのです。 本稿では、歯科医院で歯科衛生士がムセに対応するためのヒントを挙げていきたいと思います。大学病院や歯科医院の現場で、口腔機能障害の臨床・研究に携わってきた立場から、解説します。院長から得た知識をもとに、日々当院で実践しているムセ対策のノウハウについてご紹介します。57歯科衛生士 March 2016 vol.40

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