歯科衛生士 2016年3月
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落合 聡Satoru Ochiaiおちあい小児歯科医院院長皆さんの歯科医院では、知的障害や、発達障害を持つ患者さんが来院された時、「うちは障害者歯科ではないので……」とお断りすることがあったでしょうか?来月(2016年4月)より、障害者差別解消法が施行されます。これにより、障害を理由に診療を拒否すれば、「不当な差別的取扱い」とみなされます(詳しくはP.52・53参照)。本稿では、障害をもつ患者さんも一般の子どもの患者さんたちと分け隔てなく診ていらっしゃる、おちあい小児歯科医院(福岡県)の落合聡院長に、バリアフリーな歯科診療を実現するための心構えを中心にお聞きしました。 (編集部)Illustration:おおたきょうこされていれば、子どもの成長にしたがい、治療に対する理解と協力を得ることが可能となり、また過去に受けた抑制治療についても納得ができるようになるものです。 しかしながら、③の場合は、①②と大きな違いがあります。それには、知的・発達障害のため、年齢は大人であっても①の場合のように「健康を守る重要性」という概念を持つことが困難で、健康を取り戻すために多少のストレスには耐えるという発想が難しいこと、「対人関係を保つ」という社会的通念を持ちにくいこと、そして、②のように、「繰り返し治療を受けていくことで、経験を積み理解していく」という心の成長や順応性を期待することが難しいことなどがあげられます。 障害の程度によっては、時間をかければこれらを乗り越えたり、また理解できなくても習慣化することで診察が可能となる人もいます。しかしながら、発達のレベルは2~3歳程度、あるいは強いこだわりや非社交性のまま成人を迎え、そのまま年齢を重ねていく人たちも数多くいるのが現状です。 そんな人たちに歯科治療を受け入れてもらうことが困難であることは、簡単に想像がつくことと思います。しかし、歯科疾患に罹患した場合、障害のあるなしにかかわらず、それを治すことができるのは歯科医療従事者である私たちだけであるということを、忘れないようにしたいものです。Column障害者歯科に取り組むメリット発達障害の患者さんの歯科診療はどう行う?“ウチでの診療はとても無理!”その不安、なんとかできるかも。発達障害ってなに?歯科治療で何が問題になる?P.92P.86P.83P.80葛 幸子 永野歯科医院・歯科衛生士Yukiko KatsuraCase Report重度精神発達遅滞の患者さんを14年間担当していますP.90が来院したら 障害を12379歯科衛生士 March 2016 vol.40

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