歯科衛生士 2016年4月
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フロスつまようじ歯間ブラシ水流式口腔洗浄器効果の大きさ小さい不明大きい不明エビデンス強度弱い弱い中程度弱い表1 メタ解析による歯間清掃用具の予防効果比較(文献2より引用改変)歯ブラシのみの場合と比べて、歯間ブラシ以外は、プラーク除去率向上に効果が小さいという見解が出された。 皆さんは患者さんにフロスの使い方を指導することも多いと思います。山本1)のように、フロスのプラーク除去効果を示す研究もあり、フロスはう蝕や歯周病予防に効果的であるというのが、共通認識ではないでしょうか。 しかし、2015年の春、Journal of Clinical Periodontologyにおいて、「通常の歯ブラシを使った歯磨きにデンタルフロスを追加しても、明らかなう蝕や歯肉炎の予防効果は認められない」という報告がされました(表1)2)。これは、2014年11月にスペインで行われた、ヨーロッパの歯周病学研究者・臨床家ら約70名によるワークショップの結果をまとめたものです。同ワークショップでは、過去のシステマティックレビューのメタ解析が行われ、ブラッシングに加えてフロスや歯間ブラシなどの歯間清掃用具を使った場合の予防効果が検討されました。 また、これとよく似た研究である2011年のコクランレビュー3)でも、「フロス+ブラッシング」の群と「ブラッシングのみ」の群について、調査開始から6ヵ月後のプラーク除去率を比較したところ、「フロスの使用/不使用におけるプラーク除去率には有意差がない」という結果が報告されました。さらに、カナダのガイドラインも、「フロスを使用したプラーク除去は、う蝕予防効果に対するエビデンスが乏しい」としています。 これらのエビデンスレベルの高い研究では、フロスは「効果が小さい」となっています。しかし、臨床上の経験としては、患者さんにフロスを使ってもらっていれば、歯間の状態はよくなるはずです。これはどういうことなのでしょうか。 「フロスは効果がない」と考える前に、患者さんが適切にフロスを使えていない、あるいは使い続けられていない可能性があります。その原因は、「使い方が理解できていない」「理解してはいるが、使いこなせていない」「忙しくて継続できていない」などが挙げられます。そのため私たちには、原因を見極めたうえで、患者さんがフロスを効果的に使えるように使い方をわかりやすく伝えるとともに、適切に使用されているかをメインテナンスのたびにチェックするなどの粘り強いサポートが求められます。実は難しいフロス指導フロスを使っても、予防効果が見えない?!1PARTフロスの正しい使い方、伝わって 実は歯科衛生士 April 2016 vol.4032

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