歯科衛生士 2016年5月
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CLINICAL特集Illustration:高村あゆみ現場発!パターン別 局所的に起きた まずここをチェックその患者さんに必要なのは、本当にブラッシング指導だけ?繰り返すう蝕や改善しない歯周病の原因って何? 抜歯の原因の74%はう蝕と歯周病とも言われており1)、歯科衛生士である皆さんもこの2大疾患の発症と進行を何とか食い止め、予防したいと考えていることと思います。 一方、日常臨床において、患者さんにプラークコントロールをしっかりと指導し患者さんも実践しているにもかかわらず、う蝕が再発する、あるいは、ルートプレーニングをきっちり行ったはずなのにポケットが深いままである……こんな経験ありませんか? プラークコントロールを行っても改善しないのは、何が原因なのでしょうか?プラークコントロールはブラッシング指導だけではない われわれは、う蝕に対しても歯周病に対してもプラークコントロールを行います。臨床の現場では、プラークコントロールのためにブラッシング指導やSRP、PMTCを行うことが中心になっているように見受けられますが、プラークコントロールとは本来、「プラークを除去し、また、プラークの再付着を防止して口腔内を清潔に保つこと」2)を指し、機械的清掃だけを指すものではありません。筆者は、ブラッシング指導よりももっと大切なことがあると思います。患者さんにそれをピンポイントに指摘することこそが、う蝕や歯周病の再発や進行を防ぐことにつながるのです。長年の経験から見えてきたう蝕・歯周病の発生パターン 「う蝕や歯周病の起こる歯は患者さんによって違うのだろうか?」 筆者は、歯科医療に携わって最初の約10年間、いつもそのことを考えていました。そうした目で診療を行っているうちに、う蝕や歯周病の起こり方のいくつかのパターンが見えてきました。ということは、パターンごとに予防策があってしかるべきです。最初にう蝕になった歯はどの歯なのか? さらに、どの歯面なのか? あるいは、改善しないポケットはどの歯のどの部分なのか……。それを突き止めるには、歯だけを細かく診るのではなく、前述のとおり、ブラッシング不足以外から原因を探ることが必要だとわかってきました。 本稿では、当院で行っているそれぞれのパターンの読み取り方とその対応策について、実際の臨床例を示しながら、一緒に歯科疾患の基本的な捉え方を考えたいと思います。歯科衛生士 May 2016 vol.4034

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