歯科衛生士 2016年5月
5/8

隣接面う蝕のリスクが高い子どもとは 隣接面う蝕のなりやすさは、小窩裂溝のように形態的な理由によるものではなく、環境的なものです。そのため、隣在歯とどのようにコンタクトしているかで条件が異なり、歯列が整っている場合に比べ、叢生などで歯の位置異常がある場合にはう蝕になりやすくなります。 PART 3小学校高学年からは要注意 隣接面う蝕を  また、前述のように、う蝕傾向が強く甘味制限ができていない場合も、ブラッシングによるプラークコントロールが良好にできていても隣接面う蝕を生じてしまうことがあります。総じて糖分摂取量の多くなる10代の子どもたちのリスクは高いと言えます。隣接面う蝕の難しさは発見より予防裂溝う蝕との特徴の違い永久歯列完成後は視診による発見も難しくなる 子どもたちのう蝕の好発部位は小窩裂溝と隣接面ですが、前編でお伝えしたように、裂溝う蝕は、小窩裂溝の診査・診断を確実に行うことができれば、それに沿って萌出直後から積極的な予防処置(シーラント)をきめ細かく行うことで、歯科医院側でリスクをカバーしていくことが可能です。 一方、乳歯の隣接面の初期う蝕は視診で発見しやすく、また、永久歯でもエックス線診査によって確認が容易なため、見逃すリスクはそれほど高くありません。しかし、裂溝におけるシーラントのように、填塞やコーティングする予防処置を行うのは隣接面では現実的でないため、隣接面う蝕の最大の予防法は、患者さんの甘味制限とフロス使用の定着となっています。残念ながら、メインテナンスによって定期的に管理を行っていても、本人に自覚がなければ完全なう蝕予防はできません。隣接面う蝕では、その点が裂溝う蝕よりも難しいと言えます。 乳歯列ではDEの間に注意が必要ですが、歯冠長が短く、エナメル質も薄いので、視診で変化を見つけることは容易にできます。 隣接面う蝕が難しいのは、小臼歯が萌出して永久歯列が完成する小学校の高学年~中学生になってからで、なかなか視診で見つけることはできません。隣接面にう蝕があるかどうかの確定的な診査はエックス線診査になるので、心配な場合には歯科医師に報告し、必要であればエックス線撮影を行うことになります。歯科衛生士 May 2016 vol.4052

元のページ 

page 5

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です