歯科衛生士 2016年5月
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(万人)200150100501975年2014年図1 出生体重による低出生体重児の分類 体重2,500g未満で出生した赤ちゃんは、1975年で96,967人、2014年で95,768人で、実は数としてはほぼ変わっていません。しかし、全体の出生数は1975年で1,901,440人、2014年で1,003,539人と約半分になっていますので、体重2,500g未満の赤ちゃんの割合は、約2倍になっています。これは出生児全体の約10%にあたります(図2)。 近年、超低出生体重児や極低出生体重児の赤ちゃんの救命率は劇的に改善しており、より小さく、より早産で生まれたお子さんが退院できるようになってきています。また、出生体重1,000g未満の超低出生体重児の出生数は、1975年には1,490人でしたが、2005年には3,115人と実数で約2倍に増えています。 これらのことから、今後、小さく生まれた子どもたちが歯科医院に来院する機会は増えていくと予想されます。 出生体重2,500g 未満の赤ちゃんを「低出生体重児」といいます。今は「未熟児」という言葉は使いません。さらに体重1,500g未満を極ごく低出生体重児、1,000g未満を超低出生体重児と呼びます(図1)。冒頭のお子さんは900gですので超低出生体重児ですね。 ちなみに日本でいちばん小さく生まれた赤ちゃんは、2006年に265gで生まれた女の子です。これは世界で2番目に小さな赤ちゃんです(世界でもっとも小さい赤ちゃんは、2004年に米国イリノイ州で生まれた女の子で260gです)。低出生体重児って?今村公俊 土浦協同病院 新生児科部長 医師低出生体重児は全出生児の約1割に今村公俊 土浦協同病院 新生児科部長 医師 つける?今村由紀Yuki Imamura歯科医師NPO法人歯ぐくみ代表理事今村公俊Masatoshi Imamura土浦協同病院新生児科部長医師図2 出生数の変化1,901,440人出生数(低出生体重児)出生数(全体)095,768人出生数全体の約10%!1,000g未満=超低出生体重児1,500g未満=極低出生体重児2,500g未満=低出生体重児 身体的な障害や、自閉症、脳性まひ、ダウン症など、診断のついた障害をもったお子さんの場合は、その障害に合わせた対応が必要になりますが、「低出生体重児」というのは、それ自体は病気でも障害でもありません。だからこそ、どんな対応が適切なのか、学ぶ機会がほとんどないように思います。 低出生体重児だからといって、過度に身構えてしまったり、「だから何?」と無関心でいることのないように、低出生体重児とはどんなお子さんで、どういった特徴があるのかを知り、来院したときにはどう対応したらよいのかを、本特集で考えてみましょう。(文献1より引用改変)1,003,539人96,967人73歯科衛生士 May 2016 vol.40

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