歯科衛生士 2016年6月
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 高齢者の歯が多く残るようになり、「8020達成者が40%を超える」といわれています。近年、多くの歯科医院でメインテナンスが行われるようになっていることから、さらに今後も予想以上に歯が残存することは確実です。 一方で、「むし歯や歯周病で歯を失わないように!」「QOLを考えて歯を残しましょう!」と患者さんには言っておきながら、いざ通院できなくなったらそれでおしまい、というスタンスの歯科医院が残念ながら多いのも現状です。定期的なメインテナンスの必要性を謳ってきた歯科医院が、患者さんが来院できなくなった途端、「訪問診療をやっているところに頼んで!」OVER65特集 [取り組み1] 口腔ケアができる他職種を歯科医院で育てる! 口腔ケア道場..............................足立 融、香川由美P.80 [取り組み2] 垣根を超えた連携で、病院全体の口腔管理の質をアップ!..............................岩田久義、野々村路子P.84高齢者の地域ぐるみで取り 歯を残してきたことで、高齢者の口腔が悲惨な状態に!?他職種は何が知りたい?歯科は何を伝えたらよい?「誰かに口腔ケアをしてもらって!」と言う。これは無責任な態度だと思いませんか? 長年メインテナンスをしている歯科医院ほど、患者さんは確実に高齢化しており、特に大きなイベントがなくても通院できなくなることはしばしばあります。その結果、口腔管理の介入がなくなった虚弱高齢者や要介護者の多くは、歯が残っているからこそ悲惨な口腔になってしまっているのです(図1)。現に、介護現場では「歯が残っていない方がいい」というのが本音のようです。はたして歯科はこのままでよいのでしょうか。図1 適切な管理がされていない歯の末路残存歯が、時には凶器となることも介護職より緊急で携帯メールで送られてきた写真。残存歯によって麻痺側の口唇をかみしめ、裂傷となり、この後口唇が壊死してしまった。このように、定期的な歯科の介入がなくなると、残存歯が粘膜や歯肉を傷つけ、自らを傷つける凶器となり、摂食困難につながることもしばしばある。自歯のほとんどが残根に!もともと28本自歯だったが、独居で足が悪くなり、前医に通院できなくなった。3年後、訪問診療で筆者(足立)が初めて介入した時には、ほとんどが残根になっていた。ba歯科衛生士 June 2016 vol.4078

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