歯科衛生士 2016年8月
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インプラント周囲粘膜炎インプラント周囲炎対比される歯周病変(骨吸収の有無)歯肉炎(骨吸収なし)歯周炎(骨吸収あり)歯周病変との病態の違い歯肉炎と多くの点で非常に類似。歯肉に限局した、「可逆性」の炎症状態。歯周炎と異なる点あり。歯周炎に比べて、炎症の進行がより急性的で大きく広がる。非外科的治療による効果歯肉炎と同様、非外科的治療で改善が見込める。歯周炎とは違い、非外科的治療だけでの効果は薄く、外科的治療をともなう。それでも100%改善できるとは限らない。治療の主な担い手歯科衛生士歯科医師 前編でご紹介したように、周囲粘膜炎は天然歯における歯肉炎と多くの点で非常に類似していました。特に、外科処置をせずともプラークコントロールの改善だけで健康な状態に戻すことができる病態、すなわち「可逆性」の炎症状態でありました。それ故に、歯科衛生士さんの技術と患者さんの協力によって、周囲粘膜炎は改善させることができるのです。 一方、インプラント周囲炎(以下、周囲炎)については、天然歯の歯周炎とは異なる点がありました。歯周炎と比べて、周囲炎では炎症の進行はより急性的で大きく広がります。また、その治療は外科的治療をともなううえに、必ずしも完全に治すことはできません。ひとたび周囲炎に罹患してしまうと、健康な状態に戻すことは難しいのが現状です。周囲粘膜炎と周囲炎の違い鈴木秀典 サンスター千里歯科診療所・所長本編に入る前に、インプラント周囲病変の病態について復習しておきましょう。前編では、インプラント周囲粘膜炎(以下、周囲粘膜炎)がけっして稀な疾患ではなく、インプラント患者さんの過半数に発症する疾患であること、また、この疾患を発見するのも改善できるのも、歯科衛生士さんの力量にかかっていることを学びました。そして、その疾患をメインテナンスで見逃さない診査方法についてもご理解いただけたことと思います。後編では、いざ周囲粘膜炎に遭遇してしまったとき(周囲粘膜炎かもしれないと思ったとき)に、どのように対応したらよいか、その方法について解説します。Illustration:山田タクヒロ大月基弘Motohiro OtsukiDUO specialists dental clinic院長鈴木秀典Hidenori Suzukiサンスター千里歯科診療所所長もう一度おさらい!前編病態を理解し、メインテナンスで見逃さない(2016年7月号掲載)後編適切に対応し、確実に改善させる今回はこれ!57歯科衛生士 August 2016 vol.40

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