歯科衛生士 2016年8月
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Illustration:うつみちはる水島美保Miho Mizushimaアンブル歯科管理栄養士安達恵利子Eriko Adachi上志津中央歯科歯科衛生士安田淑子Satoko Yasudaふれあい歯科ごとうハッピーリーブス管理栄養士養 ですか?「前に来院したときよりやせた」「歩くのが遅くなった」――そんな高齢患者さんに心あたりはありませんか。高齢者が要介護状態になる理由には、認知症や転倒・骨折などの直接的な要因のほかに、「高齢による衰弱」があります。そしてその衰弱には、高齢者の栄養状態が大きくかかわってきます。口腔“だけ”でなく栄養状態にも目を配り、高齢患者さんにこれからも元気に来院し続けてもらいましょう!図2 在宅高齢患者さんにみられる低栄養の症状80代の女性。全身の筋肉が衰え、大腿部が片手でつかめるほどに細くなっている。80代の男性。首の周りの筋肉が落ち、若いころなら顎の下一指下のところにある甲状軟骨が首の下辺りにまで落ち込んでいる。80代の女性。腕の筋肉が非常に少なくなり、上腕部(二の腕)が前腕部より細くなっている。 そもそもなぜ高齢になると衰弱してしまうのでしょうか。体力や筋力の低下、活動意欲の減退、社会参加の不活発化など考えられますが、日々の食事も大きな要因の1つだと考えられます。そして、慢性的な栄養不足は「低栄養」につながります。 筆者(水島)の以前の勤務先は在宅医療を行う医科有床診療所で、医師の指示により訪問栄養食事指導を行っていました。現在は訪問歯科において、嚥下評価後の嚥下食の調理指導と、医科主治医の指示で歯科患者の栄養衰弱、そして要介護…指導を行っています。これまで医科・歯科の在宅診療のなかでさまざまな状態の高齢者を目にしてきましたが、以下のような状態の方を目にすることが多くあります(図2)。特別な疾患にかかったせいでこのような状態になったわけではなく、いずれも原因は低栄養です。 歯科医院において患者さんの栄養状態に目を配り、低栄養を防ぐことは、高齢患者さんの健康を守るためにとても重要です。本特集を読んで、低栄養への理解を深め、その兆候に気づくノウハウを知っていただければと思います。安達恵利子 上志津中央歯科・歯科衛生士水島美保 アンブル歯科・管理栄養士79歯科衛生士 August 2016 vol.40

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