歯科衛生士 2016年10月
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はじめに ―現在歯数の増加が根面う蝕の増加に―Illustration:コージー・トマト わが国は世界に類を見ないスピードで社会の高齢化が進み、2016年3月現在、高齢者人口は過去最高の約3,400万人となりました1)。このような将来の超高齢社会を見据え1990年代初めに日本で行われた疫学調査2)では、根面う蝕の有病者率は50代がピークで50%程度を示し、70代では20%台でした。70代の有病者率が低いのは、歯の喪失が原因と考えられます。 この調査より少し前の1989年、「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めて始まった8020運動によって、当時4歯だった平均現在歯数は、2011年には12歯にまで増えました。 歯を失う高齢者が減少している一方で、気をつけなければ図1 高齢者における4mm以上の歯周ポケットを有する者の割合*1 1999年と2005年以降では、1歯当たりの診査部位が異なる。*2 被調査者のうち対象歯を持たない者も含めた割合を算出した。(文献4より引用改変)なぜ、根面う蝕 メインテナンス (歳)65~6970~7475~7980~8485~1999年*1(%)2011年6050403020100近年、特に75歳以上の後期高齢者において著しく増加2005年OVER65特集8020運動により高齢者の現在歯数が増えるにしたがい増加傾向にある根面う蝕。その特徴と患者層から、歯冠部う蝕と同じように考え、対応することは危険です。今回は、多くの高齢患者さんを定期的に診ている筆者が、根面う蝕こそ“管理”(メインテナンス)が大事という発想の転換を、症例を示しながら提案します。(編集部)歯科衛生士 October 2016 vol.4022

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