歯科衛生士 2016年10月
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久保至誠Shisei Kubo長崎大学病院医療教育開発センター准教授ならないのは、75歳以上で4mm以上の歯周ポケットを有する患者が激増していることです(図1)。根面う蝕の発生には歯肉退縮による歯根の露出が必要で、通常、歯肉は歯周病の進行や歯周病の治療によって退縮することから、根面う蝕は年齢とともに増加します。特に、心身の衰えが顕著となる後期高齢者で発生のリスクが高くなると考えられます。 う蝕有病者率の推移を見てみると、19歳以下でう蝕罹患率が減少しているのに対して65歳以上では著しく増加しており(図2)、この傾向は現在も続いています。また、70歳を対象とした根面う蝕の発病調査3)では、6年間の発病者率が55%程度であったことから、高齢者のう蝕の多くは根面う蝕と推測されます。こそが大事なの?(%)1006090805070403020100図2 年齢階級別う蝕有病者率の推移(文献5より引用改変)(年)1987199319992005201110~14歳55~64歳25~34歳85歳~5~9歳45~54歳20~24歳75~84歳15~19歳65~74歳35~44歳19歳以下の若年者では有病者率が急減しているのに対し、高齢者では激増している23歯科衛生士 October 2016 vol.40

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