歯科衛生士 2016年10月
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寝る子は育つ ―睡眠が子どもの成長に   日本の子どもの睡眠時間は世界的にみても短いといわれています。その理由として、親の就業形態の変遷、核家族化などにより、子どもが十分に睡眠をとる環境が整っていないことなどが指摘されています。「寝る間を惜しんで」と言うように、わが国では睡眠が軽視される傾向がありますが、正しく睡眠が取れないと、心身の疲労が回復しません。特に子どもの場合、昔から「寝る子は育つ」ということばが知られているように、睡眠と心身の成長発育は密接に関連しています。 子どもの睡眠不足は、深睡眠と相関して分泌される成長ホルモンの分泌量が低下することで成長障害をきたしたり、知能指数(IQ)が低い、学業成績が悪い、発達障害があるなどの報告もあります(コラム参照)。これに加え、扁桃肥大や小顎などで気道が狭い場合には、通常は使用しない筋肉まで使って、なんとか呼吸を行うようになるため(努力性呼吸)、さまざまな悪影響をおよぼすことが報告されています(図1~3)1-4)。 これは、「睡眠障害」の中の「睡眠関連呼吸障害」にあたり、その多くにいびきが認められます。いびきをかく子どもは4年後の多動性のリスクが高い5)、幼児期(2~6歳)にいびきをかいていた子どもは中学生時(13~14歳)の学業成績が悪い6)といった報告もされています。●知能指数(IQ)の低下●学業成績の低下●発達障害●胸郭の変形漏斗胸(図1)、鳩胸●心機能障害胸腔内圧変動による心室変形、心機能障害●顎顔面形態の変形アデノイド顔貌(図2)、過蓋咬合、小顎(図3)など図1 漏斗胸ロート胸。息を吐く時(b)に前胸部が深く陥凹する。(写真提供:宮崎総一郎教授)気道の狭さが原因ではこんなことも……成長・発達障害睡眠不足がもたらす悪影響ba歯科衛生士 October 2016 vol.4054

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