歯科衛生士 2016年11月
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図5 待合室からの立ち上がりに注目肘掛けがある椅子のほうが立ち上がりやすい場合や、診療室への距離が近いほうが良い場合など、患者はさまざまな理由で座る場所を選んでいるので、そのようすをチェックする。ここでは、高齢者の特性と、それをふまえて歯科医院で実践したい対応について、日々高齢者とかかわっているケアマネジャーと歯科衛生士の立場からそれぞれ解説します。赤石充隆 やさしい手千葉居宅介護支援事業所・ケアマネジャー武藤智美 葭内歯科医院・歯科衛生士身体的な老化をふまえた歯科医院での対応武藤智美葭内歯科医院・歯科衛生士 保険証や診察券を滞りなく渡すことができるか、予約を間違えていないか、顔つきはどうかなど、受付ではたくさんの情報を得られます。受付担当の人は、いつも予約を間違えずにお越しいただいていた方が予約日や時間を間違えたり、保険証をどこにしまったか忘れていたりす受付での“いつもと違う”動作を見逃さないるなどいつもと違う感じであったときは、要注意としてやんわりとようすを伺ったりすることも必要です。そのようすについて、担当する歯科医師や歯科衛生士に事前に伝えておくとよいでしょう。伝えられた側の人は、実際に患者さんから心配なようすを感じたら、その方と笑顔で目を合わせ、挨拶をしてみましょう。その時の表情や仕草から何か読み取れることがあると思います。患者さんには体調の変化や気にかかることがあるのかもしれませんが、それでも診療に来てくださっていることを忘れずに対応することが大切です。 診療室への入室、ユニットへの移乗の際も瞬時のチェックが必要です。待合室の椅子からの立ち上がりのスピードなどに着目し(図5)、必要があればお手伝いをします。杖を使用している場合などは荷物を先に預かりましょう。この時、空いているもう一方の腕を掴んでサポートしようとする場合がよくありますが、空いている側は麻痺などの患側である場合待合室からの移動のようすを見て、必要があればサポートするがあります。したがって、勝手に掴まずに「どこか支えた方が楽なところはありますか?」など具体的に答えやすい声掛けをしてみましょう。また、手を貸すことで「年寄扱い」と受け取り嫌う方もいらっしゃいます。その場合は、そばから離れず、危険な場面ですぐに手を出せる位置で見守ることが必要です。 ご家族など付き添いの方がいらっしゃる場合は、その方が移乗の際にどのように手を貸すかを見ておくことも大切です。慣れていらっしゃる方のサポートを拝見し、どこに手を貸すと楽そうであるか、どこに不自由があるかを見ておくことができれば、その後のサポートがスムーズにできると思います。 老化 に 対応する患者さんの27歯科衛生士 November 2016 vol.40

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