歯科衛生士 2016年11月
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森崎市治郎 梅花女子大学看護保健学部口腔保健学科はじめに ─摂食障害に注目してほしいワケ─ 摂食障害クリニックに通院中の人への調査によれば、摂食障害のある人では69.7%(46/66人)に酸蝕症がみられました。図1に、通院者の口腔症状の調査結果をオッズ比で表したものを示します1)。性別と年齢をマッチさせた対照群と比べて、摂食障害のある人には歯科的問題が多く、特に酸蝕症のオッズ比は8.5と高くなっていました。また、軟組織においても、舌炎で4.2、口唇炎で9.6と高い値を示しました。一方、歯肉出血は1.1で両群に違いはありませんでした。 また、18歳以上で摂食障害の治療を受けている292人の32.5%が、パージング(嘔吐)直後に歯磨きをしていることもわかりました2)。そして、パージングには歯科的問題がともなうことを92.4%の人が認識しているものの、歯科でのコンサルテーションを受けていた人は29.2%に過ぎませんでした。図1と同じ調査では、過食・嘔吐のある群で口腔衛図1 摂食障害クリニック通院者と口腔の症状その患者さん、かも?摂食障害歯科的問題0舌炎口唇炎酸蝕症246810(倍)4.14.29.68.5プラスα特集性別・年齢をマッチさせた健常者摂食障害クリニックの通院者Illustration:もり谷ゆみ歯科衛生士 November 2016 vol.4076

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