歯科衛生士 2016年12月
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はじめてます!全身に目を向けて、変わる、 [後編]歯科医院における発達支援 子どもの口腔 育む 取り組 前編では、口腔機能が全身とともに発達していくことに着目した「生命活動の3Sで健口づくり」のコンセプトと内容をご紹介しました。後編では、口腔機能がかかわる身体機能の発達段階において気を付けたい具体的なポイントとあわせて、著者らによる診療室でのチェック内容をお伝えします。最後に、診療室で発達支援に取り組むためのきっかけ作りのヒントもご紹介します。月齢のめやす胎芽期胎児期新生児期~乳児期幼児期8週10週20週0~3ヵ月5ヵ月7ヵ月9ヵ月1歳2歳3歳4歳5歳身体の発育●口と全身の関連の基礎となる動きができ始める●主要な臓器がほぼ完成●自発運動が出そろう●成長とともに、胎内空間が小さくなる●ねんねの時期●非対称性緊張期●首がすわる●手を追視する●寝返り●ずりばい●自座位がじょうずにできる●つかまり立ち首が起きて腰が立つ●歩行●でんぐり返し●三輪車に乗る●かかとの骨の数が揃う●片足飛びができる口腔機能がかかわる身体機能の発達食べる●哺乳(ラッチオン)●離乳食開始(捕食)口唇を使って食べ物を口に取り込む、口唇を閉じて飲みこむ●自食(手づかみ食べ)ができるようになる●食具を使い始める●大人と同じ硬さのものが食べられるようになってくる話す●クーイングクークー●母音の喃なん語ごアーアー、ウー●子音を含む喃語ブー、バー●繰り返しの喃語マンマン、ダーダー●1語文●2語文●発音が成熟●歌を歌う●発音・文法の完成呼吸●鼻の形成、横隔膜の形成●肺呼吸の開始口腔の発育●口・口唇の完成●歯の元基ができる●顎が長くなり始め、歯芽の形成●唇・舌・顎が一緒に動く●食物を飲みこむ時、左右に口唇が伸びる舌の上下運動●乳歯列完成●咬む動作完成●上顎の成長のピークUNDER20特集43ページより ﹇作﹈小石 剛、赤井綾美、高島隆太郎、西川岳儀歯科衛生士2016年11月号とじ込み付録 ©クインテッセンス出版㈱全身と口腔の発達のかかわりとじ込み付録本シートを切り取って、未就学児の口腔および全身の発達の確認・指導にお使いください。使い方全身と口腔の発達のかかわり早見表未就学児対応(引用文献1を基に改変)〈引用文献〉1.白田チヨ.「健康なお口」は「口の機能」を支えることから始まる  歯科衛生士のための0~3歳児発達ガイド.歯科衛生士 2015;39(5):28-29.〈参考文献〉1.池ノ上 克, 前原澄子.みえる生命誕生-受胎・妊娠・出産.東京:南江堂,2013.2.林 万リ(監).やさしく学ぶからだの発達〈Part 2〉 運動発達と食べる・遊ぶ(第3刷).東京:全国障害者問題研究会出版部,2016.3. 林 万リ(監).やさしく学ぶからだの発達〈Part 1〉.東京:全国障害者問題研究会出版部,2011.4. 西川岳儀.松藤文男,松藤克也(監).人生が変わる! 足指スローストレッチ.東京:実業乃日本社,2015.●土踏まずの形成●目・手の協調運動●首がすわり、飲みこむことができるようになる●支えると座位で安定する口腔は全身とともに発達し、口腔機能は身体機能とかかわりあい、段階を追って発達していきます。指導の詳細は、本誌2016年12月号UNDER20特集をご覧ください。●体幹を支える骨(頚椎→脊椎→坐骨)の完成●吸啜・嚥下・呼吸の連携が成熟●開口、口唇閉鎖、嚥下を行う●規則的な嚥下運動●規則的な呼吸様運動の開始●すべての乳歯芽が形成●運動の成熟●咀嚼の成熟●指1本ずつ認識可能●頚部・体幹の同側性屈曲●親指やこぶしを吸う●自動歩行反射7●目・手・口の協調運動●体が安定してくると、自食しやすくなる●体軸が回旋して自座位ができると、舌が対称的な上下運動から左右運動ができるようになる68555●立位完成91妊娠中の姿勢4足底接地5適切な離乳食2抱き方・寝かせ方3靴下は控える6食事時のチェア8靴の選び方7バンボタイプに注意9態癖(うつぶせ寝、吸指癖)は「生命活動の3Sで健口づくり」に基づく指導のポイントです。早見表●ハイハイ●はっきりとした聞き取りやすい喃語●舌が食物を運ぶほうの口角にへこみができる舌の左右運動●顎もよく動く●咬む動作の基本と舌の基本の動作完成●口唇閉鎖の獲得開始●下唇の動きが出てくる(口の中に巻き込む)舌の前後運動1234pⅠ_DH11_Furoku1_CC2014.indd 12016/10/12 14:08本稿は、この「発達早見表」に沿って解説していきます。本誌2016年11月号とじ込み付録「全身と口腔の発達のかかわり早見表」をご用意ください妊娠期から段階を踏んで発達する機能 前編(11月号)で述べたように、口腔機能の発達は、全身の運動機能の発達と密接に関係しています。その例として、咬合力と、身体のバランス(重心動揺や足底の接地面積)や身体能力(鉄棒での逆上がりや転倒事後など)が関連していること1)などが挙げられます。 これらの発達は、一歩一歩階段を登るように進んでいきま小石 剛 こいし歯科・歯科医師「全身と口腔の発達のかかわり早見表」では、身体と口腔、そして口腔機能がかかわる身体機能の発達のステップを、順を追って見ることができます。トラブルが大きくなる前に、その芽に気付いて対応したいABCDE歯科衛生士 December 2016 vol.4054

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