歯科衛生士 2017年2月
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高齢患者さんの 「食の変化」に気づけてる?ここがフレイルのはじまり!Illustration:キムラみのる、佐々木 純長谷剛志Takashi HASE公立能登総合病院歯科口腔外科診療部長歯科医師 患者さんから「最近、肉や脂っこい料理を好まなくなった」「硬いものが噛めない」「汁物でムセることが多くなった」など、日々の食事に異変を感じるようなセリフを聞いたことはありませんか?それは、「食の偏り」を意味します。 「食の偏り」は老化を助長して健康寿命を縮め、寝たきりに陥る危険なサインなのです1)。老化のスピードは生活環境による影響を大きく受けることから、ふだんの「食生活」を見直すことが、寝たきり予防の第一歩となります。そのため、患者さんが元気なうちから介護予防として「食支援」を行うことが歯科医療の重要な役割であると考えます。口は食べ物の入口であり、機能的に食塊の形成を行い、咽頭、食道へと食べ物を送り込む重要な器官です。口の専門家である私たちは、患者さんがしっかり食べることができているか、機能を定期的に判定し、サポートしていくことが大切なのです。「食の変化」が知らせてくれること味の濃いものを好むようになったという場合、味覚が鈍化していると考えられます。味の濃いものは糖分・塩分を多く含んでいるため、自然と摂取量が多くなりがちです。惣菜やレトルト食品は手軽な反面、油脂の多いものが多く、カロリーが高いです。特に、麺類や菓子パンなどは炭水化物のため、栄養が偏る傾向にあります。何を食べても味が薄くて、醤油やソースの減りが早くて困っちゃうわ栄養の偏りはもちろんですが、活動性や意欲が低下しているサインのひとつです。活動、意欲の低下に影響!健康や生活習慣病に影響!栄養の偏りに影響!ここ最近、毎日の食事にバリエーションがなくなってきちゃってね惣菜やレトルト食品、麺類、菓子パンは簡単で便利だから毎食、食べてるんだ。いい時代になったなあこのような言動からは、患者さんが「食の偏好期にある」ことが考えられます。会話から原因をつきとめ、対応していくことが重要です。次のページからくわしく説明していきます。Caution!Caution!*本稿では「食の好みが変わる時期」という捉え方をしやすくするため、「偏向期」ではなく「偏好期」と表記している。けてる?Caution!77歯科衛生士 February 2017 vol.41

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