歯科衛生士 2017年10月
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目標は低くてOK! 小児歯科診療の目的は、健全な永久歯列を育てることです。その目的を達成するためには、思春期の口腔内環境を守ることが大きな課題だと感じています。 読者の皆さんのなかにも、「何度も同じことを伝えているのに、なかなか実践してくれない……」と頭を悩ませている方が多いのではないでしょうか。思春期への対応のポイントは、少しハードルを下げることです。思春期の患者さんへのアプローチを考えたとき、成人と同じレベルの目標を設定してはいませんか? 次ページより、具体的にみていきましょう。中高生のお口はう蝕リスクが高い! 低年齢期では保護者による熱心な仕上げ磨きや、近年の歯科保健への関心の高まりから、歯科でのメインテナンス、フッ化物の応用などで子どものう蝕は年々減少しています。データ上でもたしかに12歳児のDMFTは1996年から2016年までの20年間で約 になっています(図1)。 一方、5歳から70歳までのDMFTを過去と比較すると、思春期以前のDMFTは横ばいで減少している14ものの、思春期以降のDMFTは以前と変わらない傾きで増加していることがわかります(図2)。 思春期になり、親の手と歯科の手から離れた結果、う蝕は増加し、成人になるまでに充填や修復、補綴などの処置を経験するのです。 このように、中高生はう蝕をつくりやすい口腔内へと変化していく時期なのです。図1 12歳児一人当たりのDMFT(文献1より引用作成)(文献2より引用作成)図2 年齢別一人当たりのDMFT20167056789101112131420304050600.83(年)(歳)20061.6819963.4619864.54DMFT0015210315420525DMFT川口 護 かわぐち歯科クリニック・歯科医師33歯科衛生士 October 2017 vol.411993年2005年2016年

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