歯科衛生士 2017年11月
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矢島由紀Yuki YAJIMAゆきデンタルクリニック[佐賀県]院長・歯科医師顎の発育不全が、口呼吸や睡眠時無呼吸症に影響しているはなぜ起こる?矢島由紀 ゆきデンタルクリニック・歯科医師三谷 寧Yasushi MITANI吉祥寺こども診療室[東京都]院長・歯科医師Illustration:サタケシュンスケ 歯列が狭窄していると、必然的に舌房が狭くなります。舌房が不足すると口呼吸が増えたり、夜間はいびきをしていて閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)を引き起こしたりすることにつながります。気道が閉塞することで、呼吸障害が起こります。姿勢にも大きく影響します。 では、なぜ歯列が狭窄したり、気道が閉塞したりしてしまうのでしょうか。その一因として考えられているのが、顎の発育不全です。歯列は、顎が十分に発育して初めてきれいに並ぶものだからです。 初めて萌出してきた乳前歯に叢生が見られることも多くなった昨今、筆者は、歯だけ見ていても顎の発育不全は改善できないことを日々痛感しています。「どうにかして子どもたちの顎の発育をサポートしたい」「どこまでさかのぼって見ていけば顎の発育を正常な状態に近づけられるのか」とずっと予防的なかかわりを模索してきた結果、歯が萌出するよりも前の新生児期~乳幼児期の発育が実は非常※厳密には、口呼吸や睡眠時無呼吸症の発症機序はもっと複雑ですが、ここでは「顎の発育不全」を起点に考えた場合についてのみ簡潔にまとめています。口呼吸が増える・睡眠時無呼吸症を引き起こす舌房が不足する歯列が狭窄する・気道が閉塞する顎の発育が不十分に大切であり、さらにさかのぼって胎生期もそれ以上に大切だという考えに至りました。 これらの問題に対応するには、顎の発育不全がなぜ生じるのか、まずはその背景を理解する必要があります。次のページからその分野を専門とされている三谷先生にご解説いただきます。79歯科衛生士 November 2017 vol.41

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