歯科衛生士 2017年12月
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患者さん頼みのセルフケアで、その有効成分を味方につける    を目的に合わせて 選ぶ。歯磨剤成分名効果・特徴成分を含有する製品例ε-ACAイプシロンアミノカプロン酸●抗プラスミン作用※3がある●炎症の誘発を抑制する●システマ SP-T ジェル(ライオン歯科材)●システマ 薬用デンタルリンス(ライオン歯科材)グリチルリチン酸 グリチルリチン酸ジカリウム、β-グリチルリチン酸など●抗炎症作用がある●クリンプロTM歯みがき ペースト(3M)●アパガードリナメル(オーラルケア)TXAトラネキサム酸●抗プラスミン作用※3がある●出血を抑制する●システマ デンタルペーストアルファ(ライオン歯科材)●システマ センシティブ(ライオン歯科材)酢酸トコフェロールビタミンE●血行促進作用がある●システマ SP-T ジェル(ライオン歯科材)●ルシェロ 歯みがきペーストP(ジーシー)代表的な抗炎症剤グリチルリチン酸ジカリウムのほか、目的に応じて急発しやすいケースにε-ACA、出血が多いケースにトラネキサム酸、歯肉を引き締めたいケースに酢酸トコフェロール等を使い分けるとよいでしょう。抗炎症剤は殺菌剤と一緒に配合されていることがほとんどです。代表的なグリチルリチン酸ジカリウムや抗プラスミン剤、血行促進剤も炎症抑制に有効です。成分名効果・特徴成分を含有する製品例IPMPイソプロピルメチルフェノール●バイオフィルムに浸透殺菌●安全性が高く、刺激性・毒性が低い●システマ SP-T ジェル(ライオン歯科材)●ルシェロ 歯みがきペーストP(ジーシー)CPC 塩化セチルピリジニウム●低濃度で浮遊性菌に殺菌効果●安全性が高い●チェックアップ ルートケア(ライオン歯科材)●ルシェロ 歯みがきペーストP(ジーシー)CHXグルコン酸、塩酸クロルヘキシジン●浮遊性菌の抑制●濃度、使用法に注意が必要●プロスペック歯みがきペースト(ジーシー)●ジェルコートF(ウェルテック)LSSラウロイルサルコシンナトリウム●口臭、う蝕に有効●バトラーデンタルケアペースト(サンスター)●システマ デンタルペーストアルファ(ライオン歯科材)バイオフィルム構成菌には、非イオン性殺菌剤(IPMP、チモールなど)が有効とされています。IPMPは安全性が高く、刺激臭がないので使いやすく、SPT期のバイオフィルムのコントロールにも有効です。一方、浮遊性菌には陽イオン性殺菌剤(CPC、CHXなど)が有効とされています。CPCは安全性が高く低濃度で効果があるため、多くの製剤に採用されています。LSSは陰イオン性の界面活性剤で、殺菌作用をもちます。細菌は、炎症が起きて増えている時の浮遊性菌を対象とするのか、比較的症状が安定している時のバイオフィルム構成菌を対象とするのか、あるいは両方かを意識して殺菌剤を選択します。剤型はペースト、ジェル、液状、液体とバリエーションが多いので、用途に合わせて選択します。※3 抗プラスミン作用とは、血栓を溶かしたり、炎症を誘発する酵素プラスミンのはたらきを抑えたりする作用。す。 なお、製剤の処方にあたっては、薬物過敏症、ショック等の既往歴等を事前に確認するようにしましょう。Target3細菌を減らしたい浮遊性菌、バイオフィルムの殺菌Target4炎症を抑えたい軟組織の消炎、血行促進37歯科衛生士 December 2017 vol.41

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