nico 2017年10月
4/6

歯をぶつけた!そのとき何が起こっている?転んだりぶつけたりして歯をケガしたとき、お口のなかでは何が起きているのでしょうか? ダメージの及ぶ範囲は、じつは皆さんの想像している以上に広く深いんです。Question歯をぶつけたとき、そのダメージは歯だけにとどまらないそうですね。具体的にはどういうことですか? Patient歯をぶつけたときには、歯そのものへのダメージと、歯の周りの組織やあごの骨へのダメージが考えられます。また、乳歯をぶつけた場合は、乳歯の奥でつくられている永久歯への影響も考えられます。ですから、ぶつけた歯が欠けたり、グラグラになったりしていなくても、見えないところにダメージを受けている可能性があるんです。nswerADoctorをケガしたとき、お口のなかでは何が起こっているのでしょうか。おおまかに言って、ダメージは次の部位に及んでいるおそれがあります。❶歯の表面(歯し冠かん)❷歯のなか(神経[歯し髄ずい])❸歯の根っこ(歯し根こん)❹歯の周りの組織 (歯ぐき・歯し根こん膜まく・歯し槽そう骨こつ)❺永久歯の芽(永えい久きゅう歯し胚はい) 左の図は、❶〜❺へのダメージをひと歯つのお口のなかにまとめた図です。実際のお子さんのお口で❶~❺すべてが起こることはまれですが、複数の個所に同時にダメージが及んでいるケースはよくあります。 ❶へのダメージのうち、歯が欠けた、折れた、抜けたといったものは、患者さんの目にも明らかです。しかし、歯の表面や内部に、微細な亀裂が入ってしまっていることもあります。また、それ以外の❷~❺へのダメージは、歯科医院でエックス線撮影検査をしないことにはわかりません。 しかも、こうしたダメージは、ケガをした直後には現れず、何日間、あるいは何週間、何ヵ月と時間がたつにつれ表に出てくるものも多いです。  時間をおいて出てくるトラブルを正しく診断するには、歯にケガをした当初から、歯の揺れや痛み、エックス線写真の所見などの変化を時間をかけて比べていくことが必要となります。 ですから、お子さんが歯をケガしたら、できるだけ速やかな歯科受診をお願いします。歯のケガは、目に見えるものだけがすべてではないのです。14

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る