必ず上達 抜歯手技
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はじめに 各地の歯科医師会やスタディーグループ,その他の講演会などで抜歯について講演した内容の一部をthe Quintessence誌に連載させていただく幸運に恵まれた.幸いにもその連載が好評であったとのことで,さらに加筆して1冊の本として出版してはどうかとのお話を編集部よりいただき,この本が完成した次第である. 抜歯は日常の歯科臨床においてもっとも頻繁に行われる手術であり,避けては通れない手術である.しかし,そのように頻度の高い処置でありながら,皆さんは納得いくまで手取り足取り,抜歯手技を懇切丁寧に習った記憶がおありだろうか? そして現在自信をもって抜歯しておられるだろうか? 筆者は大学病院の口腔外科に20年以上在籍し,学生,研修医,若手医局員らの抜歯の指導にもあたってきた.そして現在の職場では,病診連携を重視して口腔外科的疾患の診断と治療に特化した診療を行っている.そのため難抜歯の依頼も多く,平成21年度は歯科医師3名で1,700本を超える埋伏歯(半,完全,水平,過剰)の抜歯を行った.これまでの経験から抜歯に対する誤解,問題点を熟知しているつもりである. 本書の執筆にあたっては,若手歯科医師や抜歯が苦手な先生方が独習でマスターできるようにとの願いを込めて,これまでの経験をもとに実践的なポイントやコツをたくさんの写真やイラストを使って,できるだけ詳細に書いたつもりである.教科書の記載と異なる内容も含まれているが,あくまでも教科書をきちんと理解したうえで自分なりの工夫を加えたものである.抜歯に限らず手術方法や器具の使い方には大学や施設間でそれぞれの流儀があり決して全国一様ではないので,本書の内容が正しく他書の記載が誤りというつもりは決してない.内容的に納得でき,賛同できる部分を取り入れていただければそれでよい. 世には高名な先生が書かれた抜歯に関する名著が数多くあり,小生のような浅学非才の者が本を書くなどおこがましく,また恥をさらすことになるかもしれないことは重々承知している.内容に誤りや独りよがりの部分があれば読者諸賢の御意見,御叱責を賜りたい. 最後に,忙しい診療のなかで快く写真を撮影してくれた関 勝宏,岡 正司,金城亜紀,新田秀一の先生方に感謝します.また連載の単行本化を提案して下さった北峯康充編集長と遅れがちな原稿を気長に待っていただき,書籍の形にしていただいた板井誠信氏に心からお礼を申し上げます. 2010年7月 堀之内康文

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