必ず上達 抜歯手技
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66ヘーベル抜歯のポイント 不完全萌出歯や残根歯,歯質が脆弱な場合など,抜歯鉗子で把持できない状態の歯の抜歯には,「挺子」(elevator〔英〕,Hebel〔独〕=本書ではヘーベルと表記)を用いることになる.ヘーベルがくるくると空回りするだけで歯がまったく動揺しないのに,延々と同じ操作を続けている若い歯科医師をよく見かけるが,これはヘーベルが歯根膜腔にきちんと入っていないために歯に力が伝わっていない状態である.ヘーベル抜歯の基本はヘーベルをきちんと歯根膜腔に入れることであり,もしなかなか入らないのであれば,後述するような補助的処置を加えて確実に入れることが大切である.どの時点で,どの補助的処置を加えるか,早めに判断することが時間短縮のポイントである. なお文中の写真で,指を添えていない写真は撮影のために添えなかったもので,本来はできる限り添えるべきであることをお断りしておく.❶❷歯肉縁下の残根歯.いずれも鉗子では抜歯できないので,ヘーベルを上手に使って抜歯することになる.半埋伏歯.萌出が不完全でスペースもないので,鉗子では抜歯できない.ヘーベルを上手に使って抜歯することになる(CHAP-TER12参照).CHAPTER8へーベル抜歯 歯の状態によっては鉗子を使えないことがあり,ヘーベルで抜歯することになる.むしろ残根歯や埋伏歯などのようにヘーベルで抜歯することのほうが多い.若い歯科医師はヘーベルを上手に使っているとはいいがたく,ただただやみくもに突き刺しているだけであったり,ヘーベルが空回りしているのに何の工夫もなく延々と同じ操作を続けているのをよく見かける.ヘーベル抜歯のポイントをよく理解して,スマートに抜歯してほしい.ヘーベル抜歯のポイントは『グルーブ(溝)』にありヘーベルの先端をきちんとグルーブ(溝),つまり①歯根膜腔か,歯根膜腔のかわりになるように歯根と歯槽骨の境目に形成したグルーブ,②歯根を分割するためのグルーブ,③ヘーベルを作用させるために歯根に形成したグルーブ,に確実に入れることがポイント(P73参照).Point1❶❷❸

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