必ず上達 抜歯手技
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100第11章歯冠分割に時間がかかるのはなぜ?1.バーが切れない バーが切れないと時間がかかり,イライラして押しつけたりしてトラブルのもと.2.下顎管の損傷を怖がりすぎている 歯冠の露出部分とデンタルエックス線写真から,歯冠の大きさを想像し,バーのどの深さまで切削するか,おおよその深さを決めておいて,その深さまでは怖がらずに一気に切削する.また,分割途中にグルーブの部分から見える断面の歯質などからも歯の大きさを推測する.分割の幅を広くすると深い部分もよく見える.ちょっと一言3.切削バーの刃の部分ではないシャフトの部分が歯質にあたっている 歯冠分割に時間がかかるのは,バーを垂直に立てて頬舌的に動かすからである.この動かし方では刃ではないシャフトの部分が歯質にあたるので効率が悪い.また,垂直に立てて動かすと余分な骨を削除することになる.バーは振り子状に動かす36~38.4.タービンでの分割が中途半端にならないように確実に分割する エックス線写真で分割線の真下に下顎管がない場合には,バーで骨に一層切り込むくらいに思い切って分割する.直下の骨にバーによる浅い溝が入っても何ら問題もない39.ヘーベルによる歯根の脱臼▲ヘーベルは歯根の軸に一致するように入れることが大事だが,水平埋伏歯では歯軸方向にヘーベルを入れることが困難な場合が多い.また,根尖が下顎管に近い場合は,ヘーベルを歯軸に沿って挿入すると歯根を押し込んで下顎管を圧迫して知覚鈍麻を生じやすい.これを避けるためには,歯根を絶対に根尖側へ押し込まないヘーベルの使い方が必要である.こういった場合には,頬側にグルーブを形成する.▲歯と頬側皮質骨との境目に,歯冠分割面側から歯根側に向かうようなグルーブを形成して52a,b,ヘーベルを作用させる.▲バーを垂直に立ててグルーブを形成する.▲グルーブの幅はバー1本分よりもやや大きく,埋伏歯の最大豊隆部より深いところまで形成する.▲形成したグルーブにヘーベルを真上から(歯根に対しては直角になる)挿入して歯根が前方へ移動するようにヘーベルを回転させる52c,d.このときヘーベルのエッジ(先端ではなく脇)を上手く利用する.▲グルーブの幅が広すぎたり,深さが最大豊隆部より浅かったりすると,ヘーベルが空回りするので,うまくグルーブを形成する.a,b頬側グルーブの形成ヘーベルを有効に作用させるために,頬側皮質骨と歯根との境目にバーでグルーブを形成する.グルーブの幅はヘーベルの刃部の厚みよりもやや広め,深さは最大豊隆部よりも深く形成する.グルーブの幅が広すぎるとヘーベルが空回りするので注意.①頬側グルーブの形成──知覚鈍麻が出にくいヘーベルの使い方c,dヘーベルの挿入,脱臼真上からグルーブ内にヘーベルを挿入して,ヘーベルのエッジを使って歯根が前方へ移動するように矢印の向きにヘーベルを回転させると,歯根を押し込まない.このヘーベルの使い方により歯根が舌側へ押しだされて舌側の骨が破折するということはない.グルーブを形成52abcd

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