99症例で知るインプラント日常臨床
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補填材料周囲には旺盛な骨形成があった。骨は比較的に成熟した梁状骨で、これらは骨補填材料表面から連続的に形成された。 自家骨を使わずに垂直的に15mmの骨造成を行った報告は過去にない。 本症例においては、下顎の犬歯を抜歯しなければ垂直的に骨の造成を行うことができなかった。しかし、犬歯欠損症例における骨造成は難易度が非常に高い。理由は、下顎側切歯の残存骨量が少ないからである。3D画像からわかるように、頬舌の骨幅が狭い(図5)。骨の造成は残存骨から骨芽細胞を誘導し再生させるため、骨量が少ないところから、高さと幅の骨の再生は難しい。 また、犬歯部位は歯列弓のカーブの部位に相当するため、犬歯唇側に骨の造成をしないと、歯列弓の形態を再現できない。犬歯に埋入したインプラントの唇側に最低2mm以上の骨幅がなければ、長期的に骨の維持安定は望めない。図2 術前口腔内写真、左側側方面観。3抜歯前。図3 3を抜歯し、粘膜治癒後に手術を行った。粘膜切開剥離後。図4 複合骨補填材料を填入し、その上をチタンマイクロメッシュで被覆。図5 3抜歯後の3D画像、後方面観。図6 垂直的骨造成後の3D画像、後方面観。図7 3部。骨の垂直的造成量。図8 骨造成部の組織標本。(松本歯科大学口腔病理学講座・中野敬介准教授のご好意による)図9 術後の下顎左側のX線写真。3には長さ14mm、456には長さ12.5mm、7には長さ9.5mmのインプラントを埋入。図10 GBR後6年経過。最終上部構造装着後3年経過時の側方面観。考察15シンポジウム Bone Augmentation

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