99症例で知るインプラント日常臨床
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補綴外科審美矯正テクノロジーリサーチリカバリーメインテナンス 患者は68歳の女性。残存歯は3 のみで、義歯不安定で咀嚼障害で来院。全身的既往は特になく非喫煙者。インプラントによる固定性補綴が希望であるが、恐怖心が強く、また治療期間中も不便がないように強く望んでいた。そのため、フラップレス即時荷重を慎重に検討した。CT撮影により骨量十分で付着歯肉もあり、フラップレス即時荷重の適応と診断され施行した。経過良好で、患者は機能的、審美的にも満足し、咀嚼障害も改善した。 現在、インプラントの進歩にともない、患者の要望も高くなっており、その1つに即時荷重が期待されてきている。そのため、さまざまな方法が検討されているが、術式が複雑で高度な技術が必要なことが多い。そこで、内外冠からなるシンコーンシステムを利用して即時荷重を行い、さらに最終補綴においてEHテクニックを応用しているが、術式の簡素化が図れ良好な結果を得ているので、当症例においても慎重な診断のもと施行した。症例の概要処置内容とその根拠フラップレス即時荷重へのシンコーンコンセプトおよびEHテクニックの臨床応用10田中譲治(千葉県開業)図9 歯肉コア付プロビジョナルとシンコーン付レプリカ利用で、インプラント位置と歯肉形態を正確に再現できる。図10 咬合もプロビジョナルにより簡便に再現。また、アバットメントを外す必要がないためインプラント予後にも有利。図11 余裕を設けたジルコニアフレームで、口腔内のシンコーンキャップを接着性セメントにてピックアップ。図12 これにより微細な歪みが補正され、パッシブフィットしたリムーバーで簡便に外せる術者可綴式補綴が完成される。図5 テンプレートから埋入位置を予想したレプリカ模型にて製作したプロビジョナルにて、ピックアップする。図6 即時重合レジンにて口腔内よりシンコーンキャップをピックアップしたプロビジョナルを修正する。図7 手術当日。プロビジョナルを装着することで、インプラントの微少動揺を抑え、即時荷重が可能となる。図8 顎位および歯肉マネージメントが終了後、最終補綴のための咬合採得および歯肉コアを採得。図1 義歯不安定による咀嚼障害で固定性補綴が希望だが、恐怖心が強く治療期間中も不便がないよう強く希望。図2 慎重な診査のもと、フラップレス即時荷重の適応と診断された。下顎を先行した。手術当日。図3 上顎も下顎同様の術式で施行。CTをもとに製作した外科用テンプレートを用いてフラップレスにて施行。図4 埋入後、カバースクリューを外しシンコーンアバットを接続。その後、シンコーンキャップを装着。331章 インプラント補綴

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