99症例で知るインプラント日常臨床
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補綴外科審美矯正テクノロジーリサーチリカバリーメインテナンス初診年月日: 2008年6月年齢および性別: 48歳、女性主訴: 歯がぼろぼろなので治療したい初診時歯式: 321 1234 6(赤は要抜去) 7654321 123 5口腔内の問題点:全顎的にカリエスがあり、根尖病巣罹患歯も多い。posterior bite collapseによる咀嚼障害と前歯の過重負担が著しい。また、右側下顎臼歯は歯槽骨とともに挺出していた。 CBCT検査の結果、骨の状態が良好だったため、歯牙・粘膜支持型のテンプレートを用いたノンフラップ手術を行うこととした。ダブルスキャン法にて作製されるテンプレートと歯牙との適合性は、閾値設定に左右されるため、オプティカルスキャン法よりも、歯牙上での位置的な再現性や安定性が劣る傾向がある。本症例においても、歯牙と接する内面の削合が必要であった。本症例は術者の微調整により好結果を得られたが、本術式(ダブルスキャン&歯牙支持型)の施行にあたっては注意を要する。症例の概要処置内容とその根拠上顎臼歯欠損に歯牙・粘膜支持タイプのNobel GuideTMを使用した症例について55井汲憲治(群馬県開業)図1 全顎的にカリエス傾向が大きく、臼歯部咬合崩壊により残存歯の過重負担が著しい。図2 根尖病巣が多く、下顎右側臼歯が挺出している。上顎の骨量・骨質は良好と思われた。図3 診断用ステントを装着した状態でCBCT撮影を行い、骨量・骨質の状態を精査した。図4 SimPlantⓇによる一次シミュレーションの結果、ノンフラップ手術可能と診断された。図9 上顎左側臼歯部の状態。右側と同様にインプラント周囲骨は良好な状態である。図10 上部構造装着後の状態。審美性、清掃性および機能性は良好である。図11 上部構造装着後8ヵ月の状態。審美・機能および歯周の状態も良好に保たれている。図12 新型のキャリブレーションシステムを用いた場合も、歯との適合性には不安が残る(粘膜支持ならば問題ない)。図5 オプティカルスキャン方式により作製されたテンプレート(iCAT社製)は歯牙との適合は良好である(別症例)。図6 歯とテンプレート内面とがわずかに干渉していたため内面を削合した。そのため、位置的再現性に不安が残った。図7 インプラント窩周囲に骨が確認できたため、テンプレートのズレによる問題は生じていなかった。図8 上顎右側臼歯部の状態。シミュレーション通りの位置に埋入できたと思われる。2章 インプラント外科80

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