別冊インプラントYEAR BOOK2011現代インプラントの10年とは?
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The McGill ConsensusSystematic ReviewLong-term Clinical CaseRandomazed Clinical TriaBiomechanical ResearchClinical Reports1983~1988~2002~2008~10Implant Review Report現代インプラントの10年とは? コンセンサスの変遷を踏まえた解明前田芳信(Maeda, Yoshinobu)和田誠大(Wada, Masahiro)(大阪大学大学院歯学研究科顎口腔再建学講座歯科補綴学第二教室)【前田芳信:略歴】1977年 大阪大学卒業1997年 大阪大学歯学部附属病院口腔総合診療部 教授2007年 大阪大学大学院歯学研究科 顎口腔機能再建学講座歯科補綴学第二教室 教授 インプラント治療そのものは決して新しいものとは言えないが,大きく変貌し広く普及したのは,1960年代後半のBrånemarkによるオッセオインテグレーションが提唱されて以降であることは間違いない.1980年代には北米でも認められ,特に歯周病専門家の間から急速に利用頻度は増加していった.80年代末のデンバーで開催されたAAPに参加する機会があったのだが,すでに学会での主要なテーマはインプラントに関するものであり,まだまだ不安定なものではあるものの,その応用が無歯顎から部分欠損,単独欠損へと拡大している状況から,これからいよいよ何か変わる予感が感じられた. その後20年を経過し,ここ数年の世界の主要なインプラントに関する学会では長期経過症例での問題事象や偶発症が主な話題となっている.つい最近香港で開催されたシンポジウムのプログラムがその一例(表1)である. ここでは特にこの10年間のインプラント治療の流れを,この間に開催されたさまざまなコンセンサスミーティングの内容をもとにインプラント治療がどのように変化してきたか考察してみたい.1)コンセンサスが与える影響 コンセンサス会議の結果が大きな影響を与えた例としては,2002年にカナダで開催されたMcGillコンセンサスがあげられる1).インプラントを支台としたオーバーデンチャーは,インプラントが臨床で使用され始めたごく初期の段階から存在した.したがって,オッセオインテグレーテッドインプラントが,ボーンアンカードブリッジの形式で無歯顎で普及しつつある際にも,インプラントオーバーデンチャーの応用例は報告されていた.しかしながら,インプラントオーバーデンチャーが治療の選択肢のなかで高い優先順位を占めることはなかったのが事実である.事態が大きく変化したのは,2002年にモントリオールで開催されたコンセンサスミーティンはじめにコンセサミーティングの意義

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