別冊インプラントYEAR BOOK2011現代インプラントの10年とは?
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13現代インプラントの10年とは? コンセンサスの変遷を踏まえた解明ことが多く報告されるようになっている(図2). 同じことは,現在臨床でその応用頻度が高まっているショートインプラントやジルコニアについてもいえる.1990年代においては,Moyの報告2)にもあるように,インプラントの長さが生存率に影響すると考えられ,ショートインプラントに対しては否定的な意見が多く見られた.その後インプラントの表面性状が改善され,術式が改良されたこと,また研究のデザインを整備した結果,2000年以降の報告ではショートインプラントの生存率は飛躍的に向上しており,そのことは最近のEAOのコンセンサスレポートにも報告されている(図3)3) . ジルコニアについては,その機械的強度や審美性には大いに期待できることがあるのだが,その利点を最大限に生かすための条件や,制約が十分に解明されているとは言い難い.例えば3年の経過でジルコニアのコーピング上に築盛したポーセレンにチップが多くみられるという結果が報告され,コーピングのデザインの変更が提案されるというようなことも生じている4).今後さらに,長期に経過する症例骨造成症例(図2-a, b)ショートインプラント適応症例(図3-a, b)ジルコニアアバットメントとコーピング症例(図4-a~d)図2-a, b 骨造成症例.a:オトガイ部より自家骨を採取し,骨造成を図った.b:異種骨ならびにチタンメッシュを用いて骨造成を図った.インプラント埋入予定部位周囲の以外の歯槽骨の維持は不明である.図3-a, b 下顎左側臼歯部にショートインプラントを適応した.近年では高い生存率を示すことが報告され,症例に応じて適応することは有用である.図4-a~d ジルコニアアバットメントとジャケット冠.破折ならびにポーセレンのチップを生じさせないコーピングデザインが必要となる.

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