別冊インプラントYEAR BOOK2011現代インプラントの10年とは?
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81Screw-Ventインプラントシステム臨床において,診断が重要なのは論を待たない.適切な診断のもと,われわれ臨床医は,その診断に沿った治療計画を作成する必要がある.では,インプラントにおける適切な治療計画立案に影響するファクターにはどのようなものがあるだろうか.う蝕,歯周病治療など,口腔内の感染を除去する疾病に対する初期治療が終わったとしても,各患者の歯周病感受性,カリエスリスク,欠損歯数,欠損パターン,コンプライアンスなど,治療計画作成時に考慮すべき要素は少なくない.一方で,インプラントは,上記のような歯科一般の診断に加えて,プロダクトを介する治療であるために,1回法,2回法,セメント固定,スクリュー固定の特徴をよく理解して治療計画を決断する必要がある.そのうえで,どの種類のインプラントを使用するか決定する.これもインプラント治療では重要な要素である.本稿では,1回法インプラントのSwissPlusを例に取り,どういう診断で1回法を選択肢,またどういう基準でセメント固定とスクリュー固定を使い分けるべきか,考察してみたい.生物学的観点から1回法と2回法を対比的に検証してみる.1回法(one-stage; non-submerged implant)とは,インプラントを埋入後,粘膜を貫通して口腔内に露出させておく方法を指す.2回法(two-staged; submerged implant)とは,インプラントを埋入後,粘膜(骨膜)下に置き,オッセオインテグレーション成立までの間,口腔内と隔離しておく方法を指す.Brånemarkら1)は2回法を提唱したが,理由はオッセオインテグレーションを獲得するまでの間に荷重を防ぎ,上皮のインプラント表面へのダウングロースを抑え,感染のリスクを最小限にすることが目的だった.それに対し,1回法で,かつて懸念されたインプ臨床に使用しやすい1回法インプラント,SwissPlusの特長古賀剛人(Koga, Taketo)(千葉県千葉市開業:古賀テクノガーデン歯科)1986年 東京歯科大学卒業1990年 千葉市にて開業1999年 Uppsala大学口腔顎顔面外科よりCertifi cate授与(Advanced Implantology)2008年 新潟大学非常勤講師(解剖学講座)2009年 東京歯科大学大学院歯学研究科卒業(微生物学)歯学博士取得2010年 神奈川歯科大学附属横浜クリニック非常勤講師(インプラント科)はじめに1回法インプラント術式と2回法術式の生物学的概念

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