別冊インプラントYEAR BOOK2011現代インプラントの10年とは?
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221スプライン® HAインプラントシステムインプラント治療が特別な治療ではなく,一般歯科において欠損補綴の1オプションとして考えられるようになってきている.筆者の臨床では可撤式の義歯や両隣在歯を削合するブリッジによる修復よりも,インプラントによる機能回復を選択するケースが多くなってきている.そして機能的回復のみならず審美的ニーズが高まり,低侵襲で長期的に良好な予後が求められるような時代になってきている.歯科用CTスキャンも普及して術前診査がより進歩したことで,今後さらなる効率的で確実なインプラント治療へと進化し,普及していくであろう.筆者は日々の臨床において,HAインプラントを使用している.使用して約18年が経過し,その予後に非常に満足している.Tiインプラントの表面性状が飛躍的に進歩してきたここ10年,HAインプラントの表面性状は大きな変化は認められない.それは,逆に考えると筆者を含め,HAインプラントを使用している臨床家から高い評価を獲得してきた結果に他ならない.1)HAとTiの違いHAインプラントの大きな特長は,その表面性状が有する骨伝導能とバイオインテグレーションといえる.骨伝導能とは,新生骨を骨添加するために必要な物理的な足場を提供することで,HAインプラントは骨芽細胞を呼び込む表面性状を有している.この骨伝導能が,抜歯後即時インプラント埋入に効力を発揮する.Strnad Zらは径4.7mmに形成した埋入窩に径3.75mmのTiインプラントとHAインプラントを埋入して比較を行った(図1)1).Tiインプラントでは,インプラント表面が全域にわたって線維性結合組織で被包され骨接触率はわずか5%であったのに対し,HAインプラントの骨接触率は72%で,HAインプラントの良好な骨伝導能が示されている石本光則(Ishimoto, Mitsunori)(東京都品川区開業:石本歯科クリニック)1992年 北海道大学歯学部卒業1997年 東京都品川区(JR目黒駅前)にて石本歯科クリ ニック開業著書:HAインプラントセラピー 長期予後から導き出されたエビデンス(クインテッセンス出版.2010)スプラインⓇ HAインプラントシステムの臨床応用HA インプラントの疑問HA インプラントの特長

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