歯周治療 失敗回避のためのポイント33
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39歯周病のリスク評価第1部 診断編ごとに評価した1例です.図中の患者Aは歯周炎進行のリスクは低いので,プラークコントロール以外の治療はとくに必要はありません.患者Bは初期治療で対応可能ですが,タバコを止める,あるいは減らすことが望まれます.患者Cは歯周病のハイリスク患者と捉え,まずは内科的な治療が必要で,さらに咬合治療,歯周外科療法および歯周補綴を含む包括的な歯周治療およびSPTを行います.患者Dは歯周治療による菌血症により敗血症を引き起こしかねませんので,観血処置をなるべく避けて,非外科的に口腔内の細菌量を減少させます1.日常臨床で簡便に利用可能なリスク評価項目は, 以上のような「年齢における歯周組織の破壊程度」「糖尿病を含む全身疾患の有無と程度」「喫煙習慣の有無と程度」「家族歴」「BOP(bleeding on probing)陽性率」などでしょう.歯周病の進行の多様性は「患者」「患歯」「部位」の3つのレベルで調べられています.リスク評価によってリスクの高い患者や患歯を早期に発見し,適切な予防と治療プログラムを実践することで,健康な口腔の維持・管理に貢献するとともに,治療コストを削減することが可能です.これからの医療は,患者ごとの特徴を踏まえた「個体医療」が原則で,患者ごとのリスク度に応じた予防と治療が行われるでしょう.患者を同じように扱う「マスの医療」は現代医療に合いません.100リスクレベル患者D好中球減少症化学療法中好中球数 激減BOP 90%患者C血糖値150 mg/dlスモーカー(20本/日)外傷性咬合ありBOP 70%PD 7 mm

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