歯周治療 失敗回避のためのポイント33
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96第2部 歯周基本治療編Ⅰ 咬合調整と犬歯誘導の回復教科書には,作業側の側方咬合力を軽減するための咬合調整に「BULLの法則」がありますが,咬耗により側方あるいは前方運動時に犬歯のガイドが失われ,グループファンクションになっている場合には,犬歯が歯周炎に罹患していなければ,「BULLの法則」に従って歯を削るよりも,犬歯の咬耗部にレジンを盛ったり,プロビジョナルレストレーションによって犬歯誘導を回復するほうが賢明だと思います.Periodontal Treatment Edition 6歯周治療前処置2~咬合,暫間固定,う蝕治療,矯正治療と悪習癖の改善~図2‒6‒1は右側臼歯部への咬合干渉があった症例です.上顎犬歯および第一小臼歯の咬耗が顕著でしたが,上顎犬歯の咬耗した部分に光重合レジン充填を行って犬歯誘導を回復させた結果,下顎が右側に移動した際の第一小臼歯の干渉は解消しました.もっとも,「切端咬合」「反対咬合」や「開口」の場合(Diagnostic Edition 3参照)には,犬歯誘導が初めからなく,ポステリアガイドになっているため適応できません.これらの患者は前歯のガイドが機能していないため臼歯を失う確率が高いでしょう.図2‒6‒1d 犬歯の咬耗した部分に光重合レジン充填を行った(矢印).図2‒6‒1,e 犬歯誘導を回復したので,下顎が右側に移動した際に第一小臼歯の干渉は解消された(図2-6-1cと比較).de図2‒6‒1b 咬頭嵌合位の位置.●右側臼歯への咬合干渉のある症例図2‒6‒1a 犬歯および第一小臼歯の咬耗が顕著である(矢印).図2‒6‒1c 右側側方運動時.上下顎の犬歯および第一小臼歯のファセットが合っている(矢印).

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