歯周治療 失敗回避のためのポイント33
5/6

178第3部 歯周外科治療編Ⅰ ハイリスク歯の認識が必要歯周─歯内複合病変に罹患した患歯は,「ハイリスク歯」と捉える必要があり,良好な予後を得るには,複数のリスク因子の軽減と確実な外科治療が要求されます.治療の難易度は歯周病変によるアタッチメント・ロスの割合によって大きく異なります.歯周─歯内複合病変の場合には,まず根管治療を先行し,経過観察して歯周炎の関与の程度を把握し,必要に応じた歯周治療を選択するのが原則です.歯内疾患由来の病変は根管治療によって解決しやすい反面,歯周炎によるアタッチメント・ロスの再生は困難です.治療の成否は確実な感染源の除去に加えてアタッチメントを獲得する歯周組織再生療法の結果に依存します.歯周病Periodontal Surgery Edition 9歯周─歯内複合病変が進行した症例に対しては破壊されたセメント質と歯根膜の再生を行う必要があり,歯根表面の汚染を取り除き歯周組織再生療法が必要になるケースがほとんどです.とりわけGTR法などの組織再生療法はテクニックセンシティブなため,治療経験のない場合には歯周病の専門医に相談することが望ましいでしょう.Ⅱ 右側上顎中切歯の歯周─歯内複合病変図3‒9‒1の患者は60歳の男性.主訴は右側上顎中切歯の動揺,歯肉の腫脹および歯の挺出です.既往歴として同部は以前から歯肉が腫れていたとのことですが放置していました.1ヵ月前頃から咬合時に軽い痛みを覚えるようになったため来院しました.歯髄が失活していた●感染根管治療+GTR法+エムドゲイン+矯正の併用療法図3‒9‒1a 初診時の所見.近心の歯周ポケットからの排膿を認め(矢印),歯周ポケットは7〜11 mm,動揺度は2度程度であった.図3‒9‒1b,c デンタルX線写真.根尖部の透過像,歯根膜腔の拡大および歯槽硬線の消失を認める.bc透過像歯根膜腔の拡大

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です