ホワイトニングに強くなる本
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26第1部 ホワイトニングの基礎知識―ホワイトニングの原理と歯科治療―1 - 66 テトラサイクリン(TC)変色の分類 歯の変色、色調異常を主訴として歯科を受診される患者さんの変色原因を調べた研究3では、テトラサイクリン(TC)変色が62%、失活歯の変色20%、その他となっています。 TCによる歯の変色は、特徴的な外観から容易に診断できます。光の当たりやすい前歯から小臼歯まで左右対称に多数歯にわたり、歯頚部、歯冠中央部、切縁部に褐色、黄褐色、黄色、オレンジ色、紫から黒色の帯状の変色が認められます。 色と濃さの違いは、服用したTCの種類と量、光の被曝に依存し、変色部位の差は服用時期に左右されます。暗室内でUV光(紫外線)照射によりTCが特徴的な蛍光を発すること、肉眼的な所見だけではなく幼少時の服薬の問診で変色原因がTCであると診断できます。 表6‐1に示すように軽度から中等度のTC変色は、ホワイトニングで対応可能です。しかし重篤なTC変色は、明度はある程度向上し褐色が目立たなくなるものの、完全な審美性の改善は不可能でホワイトニングでは対応できない場合もあります。結局、TC変色のホワイトニングには可能性の診断が重要です。 もっとも有名なTC変色の分類は、前歯の変色の色調と濃度、帯状変色の有無で、軽度のF1から重度のF4まで分類されるFeinman(1987)による4種の分類(表6‐2)と、色調からホワイトニングの可能性をⅠからⅣまで分類し、ホワイトニングの容易さや困難さ、ホワイトニング予後までを推定しているFeinmanによる図6-1 TC変色のF1。図6-2 TC変色のF2。

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