ビジュアル歯周病を科学する
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135歯周病の疫学とリスクファクターCHAPTERCHAPTER2歯周病病因論・感染因子CHAPTERCHAPTER3歯周病病因論・宿主因子CHAPTERCHAPTER4病因論の臨床へのサイエンストランスファーCHAPTERCHAPTER5歯周病の発生CHAPTERCHAPTER1③バイオフィルムの低栄養条件下での増殖活性低下に起因する抗生物質感受性の低下 細菌の増殖が活発なとき、タンパク質合成経路やDNA合成経路は活性化するため、そこをねらって合成阻害する抗生物質の効果が上がるが、バイオフィルム中の細菌のように増殖活性が低い状態だと効果が得られにくい(図9c)。 バイオフィルムを構成する細菌のうち、抗生物質耐性かつインドール高産生性の細菌が存在すると、その細菌が「奉仕活動」をすることで周囲の細菌がインドールを受け取ることができる20。インドールは薬物排出ポンプを稼働させるはたらきをするため、集団全体の抗生物質耐性を高める(図9d)。④インドール高産生能を有する菌株から他のバイオフィルム構成細菌へのインドール受け渡しにともなう細菌 叢全体の抗生物質耐性の向上図9c図9d低い生理活性に起因する薬剤への低感受性c抗生物質感受性菌(生菌:通常の増殖活性)死菌抗生物質低感受性菌(生菌:低い増殖活性)抗生物質タンパク質合成、DNA合成など増殖に関与する経路を阻害する抗生物質の効果が現れにくい抗菌薬を取り込ませても低い増殖活性を示す菌では致死的効果が得られにくいバイオフィルム状態の細菌=低栄養条件下で低い増殖活性を示すもの が多い抗生物質耐性変異株による奉仕活動と集団防御d生菌インドール(情報伝達物質)死菌抗生物質耐性変異株抗生物質抗生物質耐性を有する変異株がバイオフィルムに存在することで、変異株から産生されるインドールが感受性菌に受け渡され、集団としての抗生物質耐性が向上する。抗生物質(ー)抗生物質(+)抗生物質耐性変異株(ー)抗生物質(+)抗生物質耐性変異株少数(+)

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