局所麻酔テクニック
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本章では,各手術部位(上顎前歯部・小臼歯部・大臼歯部ならびに下顎前歯部・小臼歯部・大臼歯部)別に,局所麻酔注射の基本的な手技と手順を図示するとともに解説します. インプラント埋入部位の〝骨〟を中心にした周囲麻酔の概念で局所麻酔注射をします.すなわち注射の基本は手術・切開部位の唇・頬側への第1注射を痛くなく,第2注射はインプラント埋入部位の骨膜下および骨内へ,第3注射は口蓋・舌側へ,第4注射では近位の孔への伝達麻酔,そして仕上げの注射は切開部位からの出血防止のために歯肉粘膜下注射を実施します.1)上顎の局所麻酔【推奨事項】 ・ 最初の注射(第1注射)では歯肉と歯槽粘膜の境界(歯肉歯槽粘膜移行部)の粘膜側1~3mmの部位を穿刺点として,刃面を粘膜面に合わせる. ・粘膜下への刺入では刃面を骨膜に向ける. ・支点(レスト)は上顎および頰骨上の皮膚に置く. ・ 骨に当てた針先はめくれているので交換する(図8‐1). ・ 眼窩下孔を皮膚上から圧迫し,眼窩孔および眼窩への刺入を防止する.【注意事項】 ・第1注射では骨膜下へ刃面を刺入しない. ・皮質骨表面に針先を当てない. ・ 第二小臼歯と第一大臼歯の歯槽頂側から骨内注射に際し上顎洞へ誤刺入しない. ・ 口蓋粘膜に薬液を注入しない(穿刺部位の潰瘍防止)する. ・ 骨膜下へ刺入するときは,針先がめくれないように刃面を骨面へ向け注意深く緩徐に刺入する.8インプラント手術部位別の局所麻酔注射方法66

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