正しいカルテ記載 マスターガイド
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2012年改定対応版刊行にあたって 私の学生時代において、臨床実習で一番困惑したのがカルテ記載でした。当時私の出身大学では、カルテ記載および保険点数請求に関する講義はありませんでしたし、またそれらに関する参考書籍もほとんどなかったと記憶しています。したがって、カルテ記載も、それに伴う医療費の請求、すなわち保険点数算定も、今になれば不完全であったことは否めません。 しかし現在は、医療過誤による訴訟件数の増大、医療費削減による医療収入の減少等、医療を取り巻く環境は日に日に悪化してきています。また、患者さんからのカルテ開示やレセプト開示請求も多くなり、その結果として行政による保険医に対する個別指導、監査が増加しています。それらから自分自身を守るためにも、正確で詳細なカルテ記載が、以前にも増して求められています。 そこで本書では、主に研修医および卒後数年以内の若手歯科医師を対象に、実際の保険診療に沿った、わかりやすいカルテ記載の手引書を目指しました。 本書の特徴として次の点が挙げられます。●❶保険制度をわかりやすく解説しています。●❷保険医の責務と禁止事項について簡潔に記載しています。●❸カルテの記載事項について詳細に解説しています。●❹症例別に初診からのカルテ記載を、実症例に沿って記載しています。●❺処方せんや技工指示書、患者への交付文書の例を掲載しています。●❻歯科医師として最低限知っておくべき法令集も掲載しています。このように、カルテ記載に関する基礎知識は十分にカバーしている内容となっています。 また、本書のカルテ記載事項は、行政による指導の場においてしばしば保険医に対して指摘される事項も網羅していますので、ベテランの先生方にも参考になると思います。 さらに、平成24年4月の診療報酬改定にあわせて改定事項や保険点数を修正するとともに、初版発行後の読者の皆様からの要望をふまえ新たに外傷歯の治療と口唇粘膜嚢胞摘出術の症例を追加しました。また、平成23年8月交付の歯科口腔保健法も掲載しました。 なお、本書はクインテッセンス出版発行の『歯科保険請求』(通称「青本」)の姉妹書として発刊しました。詳細な個別症例や保険請求については、そちらも併せてご活用ください。 最後に、この本が先生方の日常診療における一助になることが出来れば幸いです。2012年6月 編集委員を代表して 小笠原浩一

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