別冊 臨床家のための矯正YEAR BOOK'12
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人の一生から考える矯正歯科治療の意義39図2 補綴治療が困難な症例.A:骨格性の下顎前突.B:臼歯部歯冠高径の喪失.C:臼歯部の咬合崩壊による前歯部の前突.D:歯槽部の水平的なずれ(臼歯部)と骨欠損(前歯部).同じような歯並びですが,何ともありませんが…」という否定的な問いかけに対して,う蝕やほかの障害の可能性を告げる自分に茫漠とした違和感を感じていた.価値観の問題だけなら,あえて勧める意味はあるのだろうかと. そして,このことは,日本矯正歯科学会からガイドラインの策定を命じられたことで,はっきりとした感覚となった.科学的なエビデンスとして容認できる論文が少なく,とくに,治療の必要性や意義に関する研究があまりなされてこなかった事実を知ったためである.内心では科学的なエビデンスばかりが強調されるのはいかがなものかとも思うが,啓蒙活動における“新しい切り口”と,矯正歯科医側における人の一生やほかの医療領域を“俯瞰する視点”の必要性は強く感じられる.補綴難治症例から考える矯正歯科治療の意義 最初に,逆説的なアプローチを紹介する. 人生の折り返し点を越えた後の健康は,その人のN01020304050607080yrs矯正歯科受診年齢(推定)矯正専門医があまり目にしない年齢層(1)+(2)(1)(2)図1 矯正歯科受診患者層.ACBDBENEFIT FROM ORTHO

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