別冊 臨床家のための矯正YEAR BOOK'12
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63第一大臼歯の位置を意識した診断とメカニックスcal)から上顎第一大臼歯遠心面までの距離(図2).2)解釈;(1) 不正咬合が上顎第一大臼歯によるものであるかを決定する.(2)抜歯,非抜歯の決定に役立つ.(3) 上顎第一大臼歯の遠心移動の可否の決定(第二・第三大臼歯のスペースを考慮する).(4)加齢とともに増加する(表1).実際の症例での検討 頭蓋における上顎第一大臼歯の位置を考慮した診断と治療および結果の検討を,成長期の1症例を用いて行った.[初診時所見]患 者:7歳8か月,女子,Y. Sさん.主 訴:前歯が反対.[検査結果]顔貌所見:正面・側貌とも鼻根部から上唇にかけて陥凹感がある(図3).口腔内所見:前歯部では反対咬合であるが,臼歯部は正常である.被蓋はやや深い(図4).歯列弓長の計測:上顎-2.54mm,下顎+4.22mmデンタルエックス線:上顎右側犬歯の埋伏.側方セファロ:(1)Facial type:Brachy facial type(図5).(2) Upper molar position U6-PTV:7.5mm/11.3 mm(3.8mm不足)(図6).鼻腔通気度計:S字カーブには中程度の乱れあり.[診断および治療方針]診 断:Angle ClassⅢ.Brachy facial typeで前歯部の反対咬合あり.わずかに下顎は過成長.上顎第二大臼歯の萌出余地不足.[治療方針と治療の進め方(コントロールチャート)](1)一期治療(T1):予定治療期間,18か月.・一期のVTO(治療目標)(図7).・SA+FM(サジタルアプライアンス+フェイシャルマスク)使用(図8).・上顎骨複合体の拡大と成長促進,上顎第二大臼歯図3A,B T1の顔貌.図4A~E T1の口腔内.図1 上顎第一大臼歯の近心頬側根はキーリッジの下に位置することが望ましい(文献9,図Ⅲ‐6より引用改変).図2 U6-PTV=PTVから上顎第一大臼歯遠心面までの距離(文献7:Fig5‐104より転載).表1 U6-PTVの各年齢における平均値と臨床的偏差(同左,#18(M),#18(F)の表より転載).#18 Upper molar position(M)年齢789101112131415161820Norm11.3 12.2 13.0 13.9 14.8 15.7 16.3 17.2 18.2 18.9 18.2 19.2 C.D.4.0 3.2 3.0 2.9 3.1 3.0 3.1 2.9 2.2 3.0 3.1 3.1 #18 Upper molar position(F)年齢789101112131415161820Norm11.3 12.1 13.0 13.9 14.7 15.5 16.3 17.4 18.0 18.0 18.0 18.0 C.D.3.0 3.0 3.4 3.2 3.1 2.9 3.1 3.0 3.0 3.0 2.7 2.7 AABBABCEDFH平面キーリッジCLINICAL CASE STUDY
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