知っ得!納得! 健口免疫アプローチ
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本論 事例でわかる!健口免疫アプローチの実際序論 これだけは外せない!健口免疫学の基礎本書の理解を深める参考文献ガイド19本論 事例でわかる! 健口免疫アプローチの実際本論 事例でわかる!健口免疫アプローチの実際序論 これだけは外せない!健口免疫学の基礎本書の理解を深める参考文献ガイド53本事例から学ぶ健口免疫アプローチ本論 事例でわかる! 健口免疫アプローチの実際1 歯の色素沈着は内側からも分解されるとは? 歯の表層に染み込んだ色素はこすっても落ちないですが、中から分解させるチャンスはあります。これは歯の神経(=歯髄)が歯を内側から浄化する役割もおっているからです。歯髄を守ることが歯のいろいろな機能の持続につながる…… 歯の表面の刺激が象牙細管内の組織液の流れを変化させ、歯髄の神経を刺激する(疼痛等の発現)という「動水力学説」の応用と考えるとよいでしょう。2 健康な歯肉とビタミンとの関係は? 歯肉も含め生体の皮膚を構成するタンパク質の80%以上はコラーゲン(線維性で強く硬い組織を形成できるタンパク質)です。そのコラーゲンはビタミンの供給で新陳代謝が加速されるため、良いコラーゲン=良い歯肉を産生するためにもビタミンの栄養補給は欠かせません。また、ビタミンは直接塗布よりも食事から(内側から)の摂取が望ましいです。(44頁テーマ4‐②も参照のこと)[解説] 筆者の主観で科学的根拠はありませんが、禁煙(断煙)に成功した患者さん(特別な道具や補助剤を使わずみずからを律して達成したような意志・意識の強い人)は、その後の健口管理がさらに熱心になるように感じています。まるで「ナチュラル・ビューティー」に目覚めたかのように高価な口腔清掃器具を購入したり、審美治療についての要望をぶつけてきます。 この女性に対しても「歯のホワイトニング」と「歯肉のブリーチ(メラニン除去治療)」を紹介しました。ただ、この人の場合、治療のメリットを理解しつつも、“自然な方法(歯を削らない、歯肉を傷めない)”志向が強く(治療に対しての抵抗があるわけではない)、治療を希望することはありませんでした。そこで「歯の内部は水が循環している」「ビタミンCが歯肉細胞の代謝を加速する」というキーワードを与えたところ、食いつきがよかったのです。「しっかり磨こう」「フッ素コーティングしよう」など、歯の外側からの概念は叩き込まれている人が多いのですが、内側からの話を聞く機会は少ないようです。 さて、現実的な対応としては、歯の審美はエアフロー主体のPMTC、歯肉の審美は栄養学的な指導と必要に応じてビタミン軟膏(局所塗布用)を紹介、半年に一度のペースで改善具合を評価していくことになりました(図26~28)。今日明日の治療方法がない場合「どうにもなりません」と簡単に済ませそうな症例でも、“キモリの心(13頁参照)”で対応すれば、何かしらのアドバイスができるものです。表面表層からの処置は限られていますが、「身体の中から」向き合っていきたいこのような症例では、歯はエアフロー&研磨を重ねながら、歯の保水性にともなう色素排除のメカニズム、歯肉はビタミンによる細胞の代謝活性促進などを題材に、口腔に関する意識を高めるようモチベーションしましょう。図26 初診時の口腔内。図27 8か月後の口腔内。図28 3年後の口腔内。図26図27図28P048-072_Kenkou_3.indd 5310/23/12 9:01:47 AM■本論の見方・活かし方 目の前の患者さんの自律神経型(交感神経型か副交感神経型か)を区別できれば、症状に対する「チーム白血球の影響力」が推測できます……生体はどのように立ち向かっているのか、これからどうなるか。抽象的な訴え、予測困難な病態変化であっても、その人の“カラダのチカラ”を見抜くことは、適切で合理的な対処や治療計画を導く強力な論理的根拠となるでしょう。一人ひとり違った病態をたった1つのガイドラインにあてはめることなど、ある意味ナンセンス。本論では、実際の症例を数多く紹介していきますが、これらに対し「自分ならどのように介入するだろう……」とイメージしながら読み進めてください。序論で述べた“キモリの心”で患者さんの心の扉を開いたら、さあ、健口免疫アプローチのスタートです。左頁下の医療者側が行ったアドバイスに交えた免疫学的情報(下線部)の、根拠や理解を深める回答となっています。患者さんから「もっと詳しく知りたい!」といった声が上がったような際にも活用できる内容です。ケースによっては、実際にこのアプローチをもとに対応した患者さんの口腔内の変化等を写真で提示しています。取り上げたアプローチ例を総括する「解説」となっています。皆さんが実際に行う際のヒントや注意事項などを詳述しています。臨床で経験される似たようなケースに遭遇した場合に“心がけるべき”患者さんへのアプローチ法をワンポイントでまとめています。

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